壁面収納リフォームはいいことたくさん、ひろびろスッキリ片付く
収納不足に悩んでいる人は多いもの。だからと言って次々家具を買い足せば、効率が悪く、部屋にまとまりが無くなってしまいます。そんな時、たくさん入ってスッキリ片付くのが壁面収納です。マンションでも一戸建てでも取り付けリフォームはとても簡単、予算オーバーした際のコストダウンの技や、上手な選び方、作り方を7つのポイントに分けてご紹介します。高さや奥行きの違う家具が並べば、部屋は雑多で狭苦しい雰囲気に
〈壁面収納リフォームのポイント1〉
壁面収納の取り付けリフォームをすると、その分部屋が狭くなるのでは?という不安の声を聞くことがあります。確かに収納が無ければ、畳数が稼げるので、図面上の広さは確保できます。特に最低6畳は欲しいと、6畳にこだわる人は多いのですが、実はここに落とし穴があります。収納が無い間取り。一見部屋の広さは確保できているように見えるが、実際これでは生活できないので、様々な家具を置くことになる。
毎日の暮らしの中で収納は必要不可欠な存在です。部屋に収納が無ければ、結局たくさんの家具を置くことになり、高さや奥行きの違う家具が並べば、雑多で狭苦しい雰囲気になってしまいます。またスキマが増えるので掃除も大変になります。
壁面収納は置き家具よりも収納効率が高く、空間の有効活用ができます。また壁面にフラットに収まるので、部屋が四角く使え、テーブルやソファーのレイアウトがしやすくなる、スキマが無いので掃除が楽にできるというメリットも。壁にしっかり取り付けるので地震に強いのもうれしいところです。
6畳にあれこれ家具を置くより、4.5畳+壁面収納のほうが部屋が四角く使えてスッキリ使える。もちろん収納力も格段にアップ(一級建築士事務所 OfficeYuu)
上の図面と画像は、6畳の部屋に家具を置いた様子と、4.5畳+壁面収納がある部屋の様子を比較したものです。家具を数多く置いた6畳より、4.5畳+壁面収納のほうが、部屋をスッキリと使えて、もちろん収納力もアップしています。
壁面収納は、部屋を狭くしてしまうのではなく、ひろびろと快適に暮らすためのもの。図面上の広さに惑わされずに、本当に便利に使える収納プランを考えてみましょう。それではさっそく、様々なタイプの壁面収納のアイデアと、選び方・作り方の注意点をご紹介します。
選び方、作り方次第で高さも奥行きも自由、10cmの深さでも便利
〈壁面収納リフォームのポイント2〉
壁面収納リフォームの方法には、家のサイズや収納するものに合わせて家具屋さんがオーダーで製作する「造り付け家具」、既製品のボックスやパネルなどのパーツを組み合わせて取り付ける「システム家具」、大工さんが現場で作る「木工造作家具」などの方法があります。オーダータイプの造り付け家具なら高さも奥行きもデザインも素材も自由自在、好みにあわせてオリジナルな壁面収納リフォームができます。例えば、床から浮かせて取り付けて部屋を広く見せるもよし、扉にデザインガラスをはめ込むもよし、小さなスキマを利用して奥行き10cmの壁面収納を作ることも可能です。
文庫本や新書を収納する本棚なら奥行き10cm程度で十分ですから、玄関ホールの隅や階段の踊り場などにも設置でき、小物を片付ける収納として重宝します。
廊下の壁一面に取り付けた、システム家具タイプの壁面収納。奥行きが薄くても雑多なものをたくさん収納できる(パナソニック)
システム家具はよく使われるサイズを中心にパーツの展開がされているので、上手く合うサイズやデザインが見つかれば、オーダーより安くリフォームすることが可能です。大工さんが現場で造作する家具は細かい造作には不向きですが、大容量のボックスタイプの収納やクローゼットの造作に向いていて、安価にリフォームができます。
マンションの場合は高効率とフレキシブルをキーワードに
〈壁面収納リフォームのポイント3〉
マンションの場合は、限られた空間の中、より高効率な壁面収納リフォームを考えてみましょう。その際は、生活スタイルの変化に合わせて、フレキシブルな使い方ができるものを選んでおくと、毎日便利に快適に暮らせるようになります。オーダータイプの壁面収納。可動型なので、自分で部屋の中を自由に動かすことができる(可動間仕切り収納リフォームで、間取り自由な家づくりより)
上の写真はリビングの壁面収納です。テレビの周囲を収納として活かし、壁と一体化させることで、部屋全体がスッキリとまとまっています。もうひとつの特徴は、壁面収納でありながら、自分で動かすことができること。例えばゲストが来訪した時はキッチンとリビングの間仕切りにして目隠しにしたり、向きを変えたり、生活シーンに合わせて、自分で間取りを変えることができます。
もちろん一戸建てでも取り付けリフォームはとても簡単。このような現場で組み立てて設置するタイプのオーダー造り付け家具や、システム家具は1日~2日で工事が完了します。
衣類が多い人は、壁に一列に並べるタイプのクローゼットが便利
〈壁面収納リフォームのポイント4〉
衣類が多い場合には、タンスに比べて収納力が格段にアップする壁面収納スタイルのクローゼットを作るリフォームがおすすめです。特に洋服をたくさん収納したい場合は、中に歩く面積が必要なウォークインクローゼットより、壁面収納スタイルのほうが、単位面積あたりに収納できる衣類の着数が多いので、狭い面積でも効率よく収納できます。壁面さえあれば半日で完成する、簡単な後付けクローゼット。セミオーダータイプの造り付け家具(半日で完成、簡単クローゼットを作るリフォームより)
クローゼットを取り付ける際には、扉選びにもこだわりましょう。例えば全開口型の折れ戸を取り付ければ、ひと目で中が見えるので、洋服が選びやすくなります。また部屋が狭く、クローゼットの前にあまり面積が取れない場合は、引き戸を選んでおくと狭くても開閉がしやすくなります。
パソコンコーナーや家事コーナーを家具に組み込むこともできる
〈壁面収納リフォームのポイント5〉
壁面収納に収納以外の機能を付加することで、限られた面積の中で様々なシーンに対応する多目的スペースが作れます。例えば、ライティングデスクのような折りたたみ式のテーブルや、コンセント、照明を組み込めば、パソコンコーナーや宿題コーナー、家事机にすることもできます。収納スペースに困りがちなアイロン台も、壁面収納のカウンターにセットして、中にアイロンを仕舞えるようにしておけば、開けるとすぐにアイロン掛けができる家事スペースになります。その際にはコンセントも忘れずに取り付けておきましょう。
大型壁面収納、書斎、壁掛けテレビのセットを組み込んだリビングの壁面収納のモデル。限られた面積だからこそ効率よく計画したい(リフォームのビフォーアフター実物大展示!みどころより)
壁面収納リフォームの際には、取り付ける部屋で何をするのかよく考え、生活スタイルに合わせて、様々な機能を付加したオリジナルの壁面収納を考えてみて下さい。それだけできっと暮らしが格段に便利になります。
デザインにこだわる、インテリアに溶け込ませるかアクセントにするか
〈壁面収納リフォームのポイント6〉
壁面収納は、壁の一面を覆うので部屋の中でも大きな存在感を持ちます。注意したいのが木目の扉を選ぶ時です。狭い部屋の壁1面を木目にすると、圧迫感が出て、ますます部屋を狭く感じさせてしまいます。部屋が狭い場合は壁と同系色でまとめるか、無地のツヤ感のある扉材を選ぶと、圧迫感を感じなくなります。逆に、壁面収納をインテリアのアクセントにしたいのに、壁と似たような色を選んでしまえば、今度は部屋全体がぼけた印象になってしまいます。
壁面収納の存在感はかなり大きなものです。インテリアに溶け込ませるのか、アクセントにするのか、どんなイメージにしたいのか、じっくり考えて選びましょう。
壁面いっぱいの収納。引き戸なので開けっ放しでもジャマにならない(パナソニック)
壁の全面が収納ではうっとうしいと感じる時は、扉の無いオープンなデザインにしたり、扉にガラスや鏡をはめこむと、圧迫感が軽減されます。特に、視線の高さの部分をオープンにして飾り棚にすると、奥行きが感じられて部屋を広く見せる効果があるだけでなく、インテリアの素敵なポイントになります。
より印象を強くしたい場合には、扉の一枚だけアクセントカラーを入れる、照明器具を組み込む、真ん中に窓を入れ込むなどの方法があります。
予算オーバーになったら、プランの見直しでコストダウン
〈壁面収納リフォームのポイント7〉
壁面収納のリフォームは、ボリュームが大きいので、プランや使う材料、作り方によって費用の差が大きく出ます。家具屋さんが作る「造り付け家具」、既製品の組み合わせの「システム家具」、大工さんが作る「木工造作家具」は、どんな家具を作るのかによって向き不向きがあり、それぞれ仕上がりと費用が異なりますので、業者にどの方法がオススメかを聞いてみましょう。
また見積もりを取ってみて、予算オーバーしてしまった場合は、下記のようなコストダウン方法があります。
- 材料のグレードを落とす
- 引き出しは割高なので付けない、もしくはアミカゴを利用する
- 扉の開閉方法を比較的値段の安い観音扉にする
- 扉を付けない、デザインを単純にする
- ガラス入り扉をやめる
- 背板を付けない
- 大きさ(巾・高さ・奥行き)を小さくする
- 製作方法を変える
扉や背板を省くことで大きくコストダウンが可能(パナソニック)
壁面収納は、予算や用途に合わせて様々な作り方ができますので、希望と予算のバランスを取りながら進めていきましょう。上手な壁面クローゼットの作り方は、下記で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
内部のパーツの選び方は下記でご紹介しています。
【関連記事】
Copyright(c)2017 一級建築士事務所 Office Yuu,All rights reserved.