家族のつながりを大切にする家づくりで忘れがちな視点
開放感のある間取りは家族の絆を深めてくれる。
部屋全体をひと目で見渡すことができる対面キッチン、必ず家族と顔を合わせてから2階へ上がるリビング階段など、いつもどこかに家族の気配を感じ、部屋と部屋もきっちり間仕切るのではなく、あいまいな間取りが好まれています。
住宅の一次取得者層は子育て世代ですから、このような家づくりの中心軸にあるのは、子どもを中心として家族みんなで仲良く暮らすというコンセプトです。家の中のあちこちに子育てや家族の絆を深めるための工夫がなされています。しかし、そこで置き去りにされてしまいがちなのが、夫婦関係の問題です。
男と女としての夫婦関係は話題にしにくい面も
夫婦は、子どもの父と母であると同時に、1組の男女。
円満な夫婦関係でいるためには、やはり男と女であることを意識するような場面があってこそ。しかし家の作りが、男と女であることを許してくれない、そんな間取りが多いのです。
このような問題は話題にしにくいため、なかなか表面に出てきません。いつもみんな一緒に仲良く暮らすというのは、もちろん素晴らしいことですが、夫婦が1人の男、1人の女としていられる家かどうか、もう一度考えてみる必要があります。
家が妻に主婦であることばかりを求めている
女性の居場所は家事スペースと兼用であることが多い。
夫の場合は、書斎という名目で確保されていることが多いのですが、妻の場合、多くはキッチンの隅にある家事スペースが居場所とされています。
家事スペースは確かに家事の合間にひと休みできて便利なのですが、家事をまかなう者にとっては仕事場です。
家自体が、妻に主婦であることばかりを求めている、1人の女としての居場所は無い、そんな間取りをよく見かけるのです。
しかしこのことに理解がある夫はそれほど多くはありません。リフォームの打ち合わせでよく聞くのが、「この家全部が妻のモノだから」というご主人の言葉です。しかし奥さんは「家全体が自分の居場所のようだけれど、本当は自分だけの場所は無い」と答える人が少なくないのです。
そのリフォームプランで夫婦生活は大丈夫?
開放感があり過ぎるお風呂も夫婦には落ち着かないことも。
間仕切りの無い開放感がある間取りは、家族の絆は深まりますが、夫婦が男と女に戻って時間を過ごすには、子供の存在が気になってしまいます。ガラス張りのお風呂もおしゃれですが、なんだか落ち着きません。
他にも主寝室が子ども部屋と隣接している、主寝室がトイレやバスルームから遠い、もしくは子ども部屋の前を通らないと水まわり行けないというような間取りは、大切な夫婦だけの時間をないがしろにしてしまう可能性があります。
夫婦は父と母であると共に、男と女でもあるということを忘れずにいたいものです。さてそのリフォームプランで夫婦の時間が過ごせるでしょうか?
次のページは、恥ずかしがらず当たり前の事として取り入れたプランをご紹介。