坪単価は必ずしも総額をイメージさせるものではない

坪単価
坪単価とはあくまでも目安にすぎない。様々な条件で総額が膨らんでいくことをまずは理解しよう
坪単価とは、一般的に建物工事費を表す言葉です。どういうことかといいますと、建物工事費は総額と大きく異なる場合があるということです。「坪単価40万円からですよ」という表現は、正確には坪単価×延べ床面積=総額を表さないということです。

仮に40坪の住宅を建てるとすると、40万円×40坪=1600万円という計算になります。前ページで紹介しましたように他にも様々な費用がかかりますから、総額はこれよりさらに大きい金額になるということです。坪単価についてはあくまでも建物だけの金額。それもおおよその目安と考えておいてください。

それに建物工事価格と一言でいっても、業者によってそこに含まれる金額は様々。基礎の工事が含まれる場合とそうでない場合もありますから、これによっても大きく金額が変動します。なお、「坪単価表示」では価格の実態が分かりづらいという意見があることから、大手のハウスメーカーでは近年、総額表示をするようになっています。

ローコスト住宅は本当に安い?

ここでよく考えていただきたいのが、ローコスト住宅の存在。ローコスト住宅の登場と認知の広がりから、「もしかしたら住宅って安く建てられるんじゃない?」などと感じている方も多いのではないでしょうか。ところが、実際はそう甘いものではないようです。

アーバン
ローコスト住宅でありながら「安心」を訴求していたアーバンエステートだが、今年3月に破綻してしまった
住宅価格の提示の仕方は業者によって様々で、とくに決まった形式のないユルイ世界なのです。「坪単価25万円台から」といったって、様々な費用が積み重なっていくと、総額ベースでは40万円台、極端な例でいうと倍以上になってしまうケースもあるようです。

「坪当たり20万円台のローコスト。しかしながら性能や品質の水準が高く、設備もハイグレードで注文住宅の夢を実現できます」。こんな宣伝文句もよく見受けられますが、これが実際の住まいづくりを正確に表現しているのか、私は疑問に感じています。

例えばこういうこと。坪単価の低さにひかれて商談を進めていくと、プランが煮詰まっていくにつれ価格がどんどん高くなっていく。「おかしいなぁ」と思っていてもそのころには断りづらい雰囲気になってしまって、結局契約してしまう。そんなケースもローコスト住宅の分野ではあるのです。

真面目にローコスト化の努力をした事例も

もっとも、だからといってローコスト住宅が全てダメなのかというとそうでもないのです。例えばエス・バイ・エル「SUM@I21」などといったインターネット専用商品。企画化や営業コストの抑制を行うことで、良質な住宅を低価格で供給する仕組み実現しようとしている商品です。

550万円住宅
アキュラホームの550万円住宅(平屋建て。他に2階建てもある)。建物の規模が小さいこともローコストの理由である
ちょっと前ですと、アキュラホームが550万円の戸建て住宅『新すまい55』を販売していました。これも建物の大きさを極力抑え、使用する部資材も最低限にとどめるなどという努力をしたため、低価格化に成功したものなのです。ただ、これらのハウスメーカー、商品でもローコストなのはあくまで本体価格のみ。それ以外の金額がかかって総額は膨らむということはご理解ください。

「なぜ安いのか」理由を考えることが大切

住宅の価格が高くなるにはそれなりの理由があるものなのですが、逆に低価格化するにあたってはその理由が見えにくいものなのです。一言でローコスト住宅といっても、その性格は大いに異なりますから、もし検討されるのなら「どうして安くなるの?」ということをよく考慮してみることが重要になるでしょう。

ここまでお読みいただいた方は、私がローコスト住宅に否定的な意見を持っていることにお気づきになると思います。私は様々なハウスメーカーの動向を取材してきました。しかしながら、その中でローコスト住宅のハウスメーカーの中には、低価格で住宅を供給できる理由を公にしていない場合が多いということを、常に感じていました。それが否定的な立場をとる理由です。

ローコスト住宅のお話は、また機会をみつけて書いてみたいと思います。次回は、住宅建築までの流れと価格決定の経緯についてもう少し深堀りするつもりです。

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