介護の悩みは、一人で抱え込まずに地域包括支援センターで相談しましょう |
地域包括支援センターってどんなところ?
「最近、年をとった親の様子がおかしい……」と感じたとき、真っ先に相談すべきなのが地域包括支援センターです。ここでは高齢者が可能な限り住み慣れた地域で安心して生活することができるよう、高齢者本人はもちろん、家族や地域の住民の相談に応えてくれます。また、相談内容に合わせて必要なサービスへと繋いでもくれるので、介護に関しての疑問や困ったことがあれば、なんでも相談してみましょう。地域包括支援センターでの相談や支援はすべて無償で受けることができるので、これを利用しない手はありません。
この地域包括支援センターは、2005年6月末の介護保険法改正を受けて市区町村が設置しているものです。2007年4月末現在、全国で3831のセンターが設けられており(厚生労働省調べ)、最低でも市区町村に一つは設置されて、住んでいる住所によって管轄するセンターが決まっています。まずは市区町村の福祉担当窓口に問い合わせを行い、親が暮らす地域のセンターがどこにあるのか調べましょう。
市区町村が直接運営している場合のほか、社会福祉法人や医療法人に運営を委託している場合もありますが、受けられるサービスは同じです。「主任ケアマネージャー」という介護の専門家、「社会福祉士」という福祉の専門家、「保健師」または「看護師」といった保険や医療の専門家たちが所属しており、それぞれが互いの得意分野を生かして連携を取り合いながら、さまざまな悩みに対して具体的な解決策を提案してくれます。
地域包括支援センターの主な役割は?
地域包括支援センターには大きく分けて4つの役割があります。それぞれの主な事業内容と合わせてご紹介します。1.総合相談・支援事業
- 高齢者に関する幅広い相談の受け付け(必要に応じて訪問も実施)
- 介護、医療、福祉、保健など、さまざまな制度や地域の社会資源の紹介
- 要介護認定で「要支援」と判定された高齢者を対象に、介護予防ケアプランを作成
- 要介護認定で「非該当(自立)」と判定された、または要介護認定を受けていない高齢者を対象に介護予防教室などを実施
- 悪質商法などの被害防止と対応
- 高齢者虐待の早期発見と防止
- 成年後見制度の手続き支援
- 地域のケアマネージャーを対象とした研修会の実施
- ケアマネージャーのネットワーク作り
- ケアマネージャーが抱える困難な事例についてのアドバイス
パンフレットでサービス内容を調べよう
地域包括支援センターで相談する前に、パンフレットで予習を |
地域包括支援センターのさまざまな機能を賢く使うには、ちょっとしたコツがあります。
1.パンフレットをもらおう
まずは直接、地域包括支援センターを訪れ、市区町村が発行する「高齢者向けサービスを紹介したパンフレット」をもらってください。仕事などの都合や親が離れたところで暮らしているなど、直接足を運ぶのが難しい場合は、市区町村の福祉担当窓口に電話をしてパンフレットを送ってもらえるように頼んでみましょう。
通常、このパンフレットには介護保険サービスの内容のほか、「緊急通報システムの貸与」「自宅への配食」など、市区町村が独自に行うサービスも紹介されている場合が多く、どのような社会資源があるのか事前に学ぶことができます。
※市区町村によるサービスは住んでいる地域によって異なります。
2.自分が困っていることを書き出そう
次に自宅などに戻って、じっくりとパンフレットを見ながらどんな困りごとがあるかをメモなどに書き出してみましょう。例えば「最近、親の足腰が弱ってきたので自宅に手すりを付けたい」「独り暮らしの親が食事をきちんととっていない」「セールスがしつこくて、断るのが大変」などです。
それまで気がつかなかったようなことも、サービスの一覧を見れば気がついたりするものです。可能であれば、親と一緒にパンフレットを見ながら希望や疑問点を聞いてあげると、地域包括支援センターで相談する内容がより具体的なものとなります。
地域包括支援センターで相談するには
地域包括支援センターで相談を受けるときにも、いくつか押さえておきたいポイントがあります。1.事前に予約をしよう
地域包括支援センターで相談する際は、なるべく事前に予約の電話をかけ、困りごとの中身を簡潔に伝えるようにしましょう。何人もの専門家のなかで、最もあなたの悩んでいる分野にくわしい人に相談できるよう、予定を調整してくれます。
2.認印があると、手続きがスムーズに
相談に行くだけなら、困りごとを書き出したメモのほかには、特に持って行かなければならないものはありません。ただ、なるべく早くサービスなどを申し込みたい場合は、認印を持って行くと手続きがスムーズで便利です。
3.相談の場では、要点を的確に伝えよう
相談の場では、メモを見ながらなるべく具体的に状況と希望、気になるサービスを伝えるようにしましょう。相談内容が具体的であればあるほど、得られるアドバイスも的確なものとなります。
ここで注意したいのが、それまで抱えていた悩みを聞いてもらえるからと言って、「私は、こんなに大変~」「こんなに頑張っているのに、うちの親ときたら~」など、愚痴をこぼすのに時間を費やしてしまうことです。もちろん、そうした話でもセンターの人は親切に聞いてくれますが、せっかくの貴重な相談時間です。少しでも問題を解決させるのに使いましょう。