食事介助、入浴介助、清拭介助、口腔ケアについては、下記の記事をご覧ください。
>食事、入浴、清拭、口腔ケアの介助とコツ
着替え介助
高齢者、特に寝ている時間の多い人でも、意外に汗をかいているものです。こまめに着替えを行うことで、清潔な状態を保ちましょう。また着替えの動作は、身体機能の低下を防ぐうえでも重要です。本人の状態に合わせて、自分でやってもらう部分と介助する部分を見分けてください。着替え介助を行うときは、次のような点に気をつけてください。
■着替え介助のポイント
- 室温は23~25度ぐらいに保つ。
- できる範囲は自分で着替えてもらう。ボタンを留めたりする作業は、指先のリハビリに効果的。
- 片マヒがあってボタン留めが難しい場合は、マジックテープのシャツを選ぶ。
- パジャマは伸縮性の良いものや、少しゆったりしたものを選ぶ。
- 転倒を防ぐため、イスに座った状態で着替えを行う。
- ズボンを着脱する際は、手すりを持ったり、壁に寄りかかったりして転倒を予防する。
- 片マヒがある場合は、健康な側から脱いで、マヒがある側から着るようにする。
- 起き上がるのが難しい人でも、着替えの際は電動ベッドの背を上げるなどして、少しでも身体を起こしてもらう。
- パジャマのしわは褥瘡(じょくそう)の原因となるので、着替え終わったらよく確認する。
排泄介助
排泄介助は俗に「シモの世話」と言われ、どんな人でもされたくないものです。本人が恥ずかしがったり、気兼ねしたりしないよう、気配りを忘れないようにしましょう排泄のたびに時間帯をメモしておき、1日の排泄サイクルを把握することや、なるべくおむつに頼らず、自力で排泄できるようにすることも大切です。
排泄介助を行うときは、次のような点に気をつけてください。
■トイレやポータブルトイレでの介助のポイント
- トイレの中と外の温度差を少なくする。
- トイレのドアを引き戸にする、段差を無くす、手すりをつけるなど、安全な環境を整える。
- トイレを知らせずに衣類や布団を汚したり、一人でトイレに行って便器を汚しても怒らない。
- ポータブルトイレの使用時には、仕切りを使うなど、プライバシーに配慮する。
- たとえ冗談でも、臭気については口にしない。
- リラックスできるよう、明るく声かけを行う。
- 室温は23~25度ぐらいに保つ。
- 男性の場合、少しでも手が使える場合は、自分で尿器を持って排尿してもらう。
- 女性の場合、排尿でも差し込み便器を使ったほうが便利。
- カーテンを引くなど、プライバシーに配慮する。
- 差し込み便器を使用する際、下半身をバスタオルで覆うなどして目隠しする。
- たとえ冗談でも、臭気については口にしない。
- リラックスできるよう、明るく声かけを行う。
- できるだけトイレやポータブルトイレでの排泄を促すため、日中は少量用の尿取りパッドを利用する。
- 夜は安心して眠れるように大容量のおむつを使用する。
- おむつの交換をするときの室温は、23~25度ぐらいに保つ。
- おむつ交換の際には、カーテンを引くなど、プライバシーに配慮する。
- たとえ冗談でも、臭気については口にしない。
- リラックスできるよう、明るく声かけを行う。
排泄介助について詳しい情報は、下記のホームページからご覧いただけます。
>排泄総合サイト「まるnavi」
移動介助
「ベッドからの起き上がり・立ち上がり」「車いすでの移動」など、移動の介助は日常生活をサポートするうえで欠かせません。ただ、介助する側が手を貸しすぎて、高齢者のやる気や運動能力を低下させないよう、必要最低限の介助を心がけましょう。移動介助を行うときは、次のような点に気をつけてください。
■ベッドからの起き上がり・立ち上がりのポイント
- 高さ調節のできる電動ベッドを利用して、介助する人の足腰の負担を軽減する。
- 急に抱え上げたりせず、一つひとつの動きに合わせて声がけを行う。
- まず起き上がる方向へ身体を横向きに。次に両足をベッドから下ろした後で、手すりなどにつかまってもらいながら、上半身を起こす。
- 立ち上がりの際は、手すりにつかまったまま前かがみになってもらい、次に手足で踏ん張ってもらうようにして、立ち上がりを促す。転倒防止のために身体を支えるときは、正面から抱きかかえるように。
- つかまるものがあれば立ち上がれる人の場合は、電動ベッドに介助バーを取り付けると移動がスムーズに行える。
- 身体の状況と体格に合った車いすを選ぶ。
- 長時間の移動の際は、車いす用クッションなどを利用して、少しでもラクに座れるようにする。
- 車いすを動かす前に、正しい姿勢で乗っているかを確認。両手、両足が車輪に巻き込まないように気をつける。
- 移動の前には、声かけを行う。
- 移動の開始や停止、角を曲がるときは、急に動かさずにゆっくりと。
- 勾配の大きな坂道や段差を下りるときは、介助者が手元のブレーキをかけながら、後ろ向きに行う。
- 身体の状況と体格に合った杖や歩行器を選ぶ。
- 片マヒがある人の場合、マヒしている側に立って脇を支える。右足を出したら右側、左足を出したら左側に、軽く身体を揺らす。
- 向かい合わせに立って、ひじを下から支える。本人には介助する人の二の腕につかまってもらう。
- 声かけを行いながら、本人が足を出すのに合わせて、タイミングよく足を引く。
- 手すりにつかまって廊下などを歩くときは、本人の斜め後ろに立って、ふらついたときにいつでも支えられるようにする。
- 事前に必ず手すりを設置しておく。
- 階段を上る際は、重心を前にかけて、しっかりとステップを踏むように声かけなどで促す。
- 階段を下りる際、重心が後ろに残るとバランスを崩しやすいので、重心を前に移動させるように促す。
- 階段を上るときは本人の斜め後ろ、下りるときは本人と向かい合わせになるように立って、ふらついたときにいつでも支えられるようにする。
身体の世話・介護の基本を動画で学ぼう
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