発達障害の種類と症状の正しい理解を
発達障害の種類と症状による行動の違い
<目次>
- 発達障害1 広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)
- 発達障害2 注意欠陥・多動障害 (ADHD:Attention-deficit/hyperactivity disorder)
- 発達障害3 学習障害
- 発達障害4 協調障害
- 発達障害5 精神遅滞
- 発達障害6 てんかん
- 発達障害に保護者が不安を抱えたら、発達障害者支援センターを
発達障害1 広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)
文字通り、発達時にいくつかの面で重症で広範な障害が起きる病気。対人関係技能、意思伝達力での障害が特徴的で、正常な子ども以上に同じ行動の繰り返しが多く、発達水準や精神年齢より明らかに偏っている状態です。「アスペルガー障害」「自閉症」「小児期崩壊性障害」などがこの疾患の中に含まれます。この病気が疑われるのは、3歳までに以下の症状があった場合です。- 視線が合わない
- 指さしをしない
- 言葉が出ない
- 出ていた言葉が消える
- 人の真似をしない
- 常に同じような動きの癖がある
- 遊び相手に興味を示さず、一人遊びにふけりやすい
- ごっこ遊びをしない
- 物の一部、ある行動、順序、遊びなどに異常にこだわる
- 突然笑い出したり、泣き出したりする
自閉症には、程度が様々で、軽度で社会生活に支障の少ない状態から、残念ながら成人になってもケアを要する状態まであります。自閉症の症状は続くことが多く、治療はいかに軽くしていくかなどに重点が置かれます。詳しくは「自閉症」サイトを併せてご覧ください。
発達障害2 注意欠陥・多動障害
(ADHD:Attention-deficit/hyperactivity disorder)
注意力や集中力が続かず、極端にそわそわとして落ち着きがないのが特徴。カッとなりやすく、考えないで衝動的に行動してしまいがちです。学校と家で、以下の不注意の徴候症状が出た場合に診断されます。学校だけのみ症状があり、家では落ち着く場合は、この病気でない可能性があります。4歳までに以下の症状が複数個現れ、7歳を過ぎても改善されない場合は、「注意欠陥・多動障害」つまり「ADHD」と診断されます。
■不注意の徴候
- 勉強や遊びに対して極端に集中することができない。不注意な過ちをする
- 課題や遊びで注意を持続できない
- 話しかけられても聞いていないように見える
- 指示に従えず、宿題などの言われたことをやり遂げられない
- 宿題や活動の順序立てができない
- 精神的努力を要するような課題(宿題)を避けたり、嫌がったり、しぶしぶする
- 課題や活動に必要なものをなくす
- 外からの刺激で注意がそれる
- 毎日の活動を忘れる
上記の「不注意の兆候」に加えて以下の多動性と衝動性の徴候があると、病気の疑いが強くなります。
■多動の徴候
- 手足をそわそわ、もじもじと動かす
- 座っていなければならない時に席を離れる
- 余計に走り回ったり高い所に登ったりする
- 静かに遊んだりできない
- じっとしていない
- 過剰にしゃべり過ぎる
■衝動性の徴候
- 質問が終わる前に答え始める
- 順番を待つことができない
- 他人を妨害し邪魔する
上記のような症状があるときには要注意。様々な治療で多動、衝動性の徴候はよくなってきますが、不注意の徴候の改善には時間がかかり、改善に乏しいことが多いです。詳しくは「ADHD」サイトを併せてご覧ください。
発達障害3 学習障害
知的な発達の遅れはないものの、学習に必要な「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」という能力のうち、特定のものだけができない障害。原因はさまざまで、脳の機能異常の他、目や耳の問題、環境要因が疑われることがあります。例えば、難聴があると言葉の理解が遅れるので、原因をしっかり特定することが大切です。学習に関わるだけに、物を書いたり、話したり、数を数える頃、3歳ぐらいに発見されることがあります。軽い場合は、小学校まで気づかれないこともあります。個人の学習に合わせて進めていく必要があり、どうしても長い目に見ていく必要があります。
発達障害4 協調障害
手や足を思うように動かせず、ごく日常的な動作に支障が出てしまう障害。動きのバランスが悪いので見た目で回りが違和感を感じて気づくことも多く、非常に不器用で、何をしても遅かったり下手であるといった特徴があります。本人は一生懸命取り組んでいるため、自信を失ったり、ストレスにつながってしまうことがあります。服のボタンをかけられない、左右の靴がはけないといった症状から周りが異変に気づくことが多く、2~3歳頃に病気が発見されることが多いです。訓練などによって生活に支障のないように改善していくことになりますが、数ヶ月ですぐに治るものではなく、ある程度の年月がかかります。
発達障害5 精神遅滞
一般的に、知能検査(IQ)で判断されます。言葉の理解、使い方、話す力、認識能力、状況判断などを知能検査で計り、診断します。周りの同年齢の子どもよりも幼稚な行動しか取れないなど、少し違った感じを見逃さないことが早期発見につながります。知能検査は、社会的能力やコミュニケーション能力、学業能力、職業能力と年齢に応じて検討。特にコミュニケーション能力だと1歳程度から発見されることが。程度により、様々な治療でのある程度の回復を目指します。以上の病気は、脳の形自体にも異常がなく、頭部CT、MRI検査を行っても同じく異常が無いことがほとんどです。
発達障害6 てんかん
脳の神経細胞が非常に興奮するために、意識がなくなる欠神発作や、意識を失って全身が震える痙攣など、異常な行動を起こす発作を繰り返す病気です。てんかんの分類は
- 脳の一部の興奮による部分発作
- 脳の中心な部分での興奮による全般発作
の2つ。主に脳の興奮をとらえる脳波検査によって、どちらの種類かを診断します。脳腫瘍など脳そのものに異常がある場合も、てんかんと同じ痙攣が起こる場合も。この場合は腫瘍を取り除くことで痙攣が改善するため、まずは脳自体に腫瘍などの異常がないか、X線を使った頭部CTや磁気を使ったMRIなどの専門的な検査を受けることがあります。
てんかんの種類によるものの数年間抗けいれん薬を内服することで痙攣は改善しますが、年月はかかります。
発達障害に保護者が不安を抱えたら、発達障害者支援センターを
発達障害のお子さんを抱えると、両親は心配、不安、悩みも抱えることもあるかと思います。そんな時には、1人で心配、不安、悩みを抱え込まないようにしてください。せひとも、発達の遅れについては、保健所や小児科に相談しましよう。ただし、一般小児科では、体の病気を対象にしていることが多く、知能検査がなかったり、臨床心理士がいない医療機関が多いのです。そのため、可能なら臨床心理士などのスタッフのそろった医療機関がお勧めです。医療機関表示に、発達相談、心身症などの言葉がある医療機関に受診するといいでしょう。
住んでいる地域で発達についてわからないことがあれば、発達障害者支援センターが都道府県にありますので、困ったら相談してみましょう。
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