学校や家庭、行政など社会全体での支援が必要です

学校や家庭、行政など社会全体での支援が必要な発達障害。焦らず気長に改善していくことが大切です

発達障害は早期発見、早期介入することで改善率がよくなると言われています。治療は、症状の程度によって異なりますが、数カ月~数年、数十年かかることもあります。

発達障害の治療法は大きく分けて

  • 心理療法
  • 行動療法
  • 薬物療法
の3つ。それぞれについて詳しく解説します。

発達障害の心理療法

発達障害の心理療法では対話を重視します。臨床心理士、カウンセラー、医師と話をしていく中で、問題点を見つけて解決していく方法。子供や家族と対話の中から、問題点を見つけます。例えば、子供の学校の成績、学校のいじめ、家庭内の暴力など、その現状とその現状にいたる問題をお互いに見つけていくわけです。

心理療法には、グループで自由に話す場を作るグループ心理療法の他、もっと小規模な単位で行う夫婦療法や家族療法などがあります。メンタルへルスの専門家(臨床心理士、カウンセラー、医師)が行う心理療法は、椅子に座り対面で週に1~3回行います。

■精神分析
心に浮かぶことを何でも口にしてもらう自由連想法で、人やものごとの関係にみられるパターンがなぜ繰り返されているのかを分析します。本来は何でも思っていることを言ってもらいますが、なかなかものを言ってくれない場合は行動を観察して分析します。

例えば、やたらと物を投げてしまう子どもがいるとします。子どもの様子を観察して、物を投げる行動が母親がいる時に限定されているとわかった場合は、母親に何かを訴える行動であるか、母子関係に何か問題がある可能性を考えていきます。もし母親がいるいないに関わらず問題行動を繰り返す場合は、何らかの発達障害を疑います。 精神分析によって異常な行動の原因を見つけることで、原因を除く具体的な治療の糸口が発見できるわけです。

■力動的心理療法
現在の思考、感情、行動における無意識のパターンを分析します。発達障害がある場合、なかなか何に興味があるのかを話してくれません。そこで行動を観察して興味を持っているものを周りが探ることになります。例えば光るものをじっと見続ける子どもの場合は、光自体に興味を持っているのか、それによって日常生活に害は生じていないかを考え分析していきます。こちらも日常生活の妨げになっているものを見つけることで、治療の糸口を発見することが目的です。

■認知療法
患者自身が自分の思考のゆがみを認識するように誘導し、そのゆがみによって生活にどのように影響しているか認知させるように誘導する治療法。例えば、子どもが食べ物を放り投げてしまうとき、食べ物を「食べる物である」と正しく認識できていないことがあります。 食べ物は食べるためにある物で、投げるのはおかしいということを自分で気づかせる教育が大切になってきます。

■対人関係療法
対人関係の質を改善するための治療法。社会的に孤立することを克服し、他人に対する習慣的なふるまいを改めるなど、対人関係の改善を図るように指導することになります。「こうしたら人が嫌がるから止めようね」など、対人関係における問題行動を一つ一つ教えていきます。


発達障害の行動療法

行動療法は心理療法に関連した治療法です。心理療法に基づき、異常な行動は誤った学習から生じるものとみなします。つまり、臨床心理士、カウンセラー、医師が、誤った学習を修正するためにさまざまな介入を行います。

■言語、コミュニケーション訓練
さまざまな方法でコミュニケーション手段を確立する治療。単語数を増やす訓練や、読み書きや文章学習をその子に合わせたペースで進めていきます。

■個から集団へ
余計な刺激は子どもをカッとさせてしまうなど治療の妨げになるので、なるべく刺激を避け、子どもの性格や資質などを見ながらゆっくりと周りとの関係作っていきます。「ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)」といって、良好な対人関係のコツを学ぶトレーニング方法があります。

問題行動や不適応行動は、知らないことに対してどう対応すればよいのか知らないために起こる行動と、誤った学習による対応法の間違いが原因だと考えられています。それらを一つ一つ、日常生活の中で修正していくことが大切です。
 

心理療法・行動療法にかかる費用

心理療法と行動療法は保険診療ではないので、各施設で値段が変わってきます。30分3000円~5000円が多く、高くても10000円までのようです。内容も本当にさまざまで、その値段に合う治療かどうかは治療にあたる人と患者との関係にも寄ります。良いと評判の施設でも自分に合わないこともあるので、あらかじめ、どんなシステムで、料金設定、通院期間などを聞いて、施設内の様子を把握しておく方がよいでしょう。
 

発達障害の薬物療法

薬物処方は医師しかできないため、医師のみが行える治療法となります。保険診療の中で行われるので、就学前の子供の場合なら2割、自治体によっては無料になります。

■自閉症の薬物療法

  • ドパミン拮抗薬(オーラップ、リスパダール、セレネース)……攻撃性、多動性、常同行動、自傷行動などがある場合に使用
  • 中枢興奮薬(コンサータ)……異常な執着、常同行動、強迫行為、自傷などがある場合に使用
  • セロトニン系薬剤(ルボックス、アナフラニール)……不安、抑うつ障害がある場合に使用
  • セロトニン系薬剤(ルボックス)……自閉症、アスペルガー症候群で気分障害がある場合に使用
  • 睡眠誘発薬(ハルシオン、マイスリー)……睡眠障害がある場合に用いることも

■てんかんの薬物療法
発作を抑える目的で使用。抗てんかん薬(抗けいれん薬)を使用します。痙攣発作や脳波によって薬が選択されます。なかなか発作が抑えられない場合は、数種類の薬を服用することも。

抗てんかん薬は、デパケン、テグレトール、エクセグランなど。脳波異常があると発作を起こす可能性があるので、脳波の異常がなくなるまで抗てんかん薬(抗けいれん薬)を使用します。異常がなくなってからも数年薬を継続し、徐々に量を減らしていくことで、最終的に薬を飲まなくても発作が起こらない状態までコントロールします。
 

発達障害治療と平行して使える生活支援

■家族支援
保護者がイライラして子供を感情的に叱ってしまうと、子供は正しい理解できずに同じ間違いを繰り返し、保護者が叱るという悪循環に陥ってしまいます。そのため、家族支援が非常に大切で、両親の訓練としてアメリカで開発されたペアレントトレーニングがあります。

社会生活での支援を受ける上で、障害者手帳を入手しておくことも大切です。療育手帳と精神障害者保健福祉手帳について、最後に簡単に触れておきましょう。

■療養手帳
知的障害児・者に対して、一貫した指導・相談等、援助措置を受けやすくするための手帳。市町村の窓口で申請します。さまざまな手当の他、税金の優遇などがあります。

■精神障害者保健福祉手帳
精神障害者が、一定の精神障害の状態であることを証明する手段。そのことで、精神障害者の自立と社会参加の促進を図るための手帳。市町村の窓口で申請します。こちらもさまざまな手当の他、税金の優遇などがあります。

発達障害者支援法によって、勉強したり社会で働くことを支援していくことが明記されています。行政にも様々な支援があり、平成17年の発達障害者支援法の施行から、全国に発達障害者支援センターが設置されています。

発達障害児への支援として

  • 子供の将来の自立に向けた発達支援
  • 子供のライフステージに応じた一貫した支援
  • 家族を含めた一貫した支援
  • できるだけ子供と家族にとって身近な地域における支援
が挙げられています。生活支援、社会参加の詳細については、発達情報センターのHP内でも詳しく解説されているので、さらに詳しい情報を知りたい人は参考にしてみるとよいでしょう。

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