手足口病とは…原因・感染力
手足口病は「コクサッキーウイルス」が感染することで発症します
手足口病(てあしくちびょう)は子供に多く見られる病気。主に「コクサッキーA6ウイルス」「コクサッキーA10ウイルス」「コクサッキーA16ウイルス」と呼ばれるコクサッキーウイルスA群と「エンテロウイルス71」というウイルスが原因で起こります。これらのウイルスの特徴は胃腸炎を起こしやすいウイルスです。
主に夏に流行します。例年、感染症発生動向調査の報告では、5歳以下の乳幼児が約90%を占めています。
このウイルスはウイルス保持者のツバなどからうつる飛沫感染と、便からうつる経口感染によって人から人に感染します。水疱から直接感染する場合もあります。また、ウイルスに汚染されたものを触ることで感染する接触感染です。
唾液からの感染力は通常、1週間未満、便による感染力は長く、2~4週間に渡ってウイルスが排出されるので、子どもの排便後は保護者も含めてしっかり手洗いをする必要があります。手洗いなどの基本的な予防がしっかりできていれば、集団感染予防のための隔離などは必要ありません。
<目次>
手足口病の症例画像・症例写真
手に赤い盛り上がった湿疹が手足口病の湿疹です
実際の手足口病の症状が出ている症例写真です。手に赤い盛り上がった湿疹が出ているのが画像からもわかると思います。
手足口病の症状・潜伏期間・治るまでの期間
手足口病は名前の通り、手・足・口の中だけに、水を持った発疹(水疱)が見られるのが特徴です。主な症状は以下の通り。- 発熱、あっても軽度な場合がある
- 食欲低下
- 倦怠感
- 口内痛
- 水をもった湿疹(水疱)、治っても、あまりカサブタになりにくい
ウイルス感染から発症までの潜伏期間は3~5日。初期症状では口内に痛みを感じるだけですが、1~2日後には手足に発疹が出てきます。中に水が溜まった発疹なので水ぼうそうと勘違いする方も多いようですが、手足口病の場合はお腹や背中には発疹が出てこないので、簡単に区別することができます。ただし、乳児の場合はお尻にも発疹が出ることがあります。
見た目の症状として最初に現れるのは、口内の白い点々。その後、歯ぐき、舌、ノド、手の指の間、手のひら、手の甲、足の指の間、足の裏などに同様の点々ができ、水疱に発達していきます。
ウイルスの種類によっては、肘を越えて脇ぐらい、膝を越えて足のつけ根ぐらいまで臀部にも、また、肘や手首に集中していたり、膝や足首に見られることもあります。さらに、爪がはがれることもあります。治れば、多くは爪は生えて元に戻ります。この現象は、コクサッキーA6型で見られます。
手足にはあまり痛みの症状は出ませんが、口内は痛みが出やすいのが特徴。物を食べる時にしみることが多いので、食欲が低下してしまう子どもも少なくありません。口内炎ですから、よだれが非常に多くなります。
発熱がなく、手足にあまり湿疹がなくても、よだれの多さで気づかれることがあります。髄膜炎を起こしている場合は、発熱や嘔吐などの症状が見られますので、見落とさないように十分な注意が必要です。髄膜炎、小脳失調症、脳炎といった合併症が見られることがありますが、これらの中枢神経系の合併症は特にエンテロウイルス71で起こりやすいです。
手足口病の検査・診断方法……はっきりしない場合は血液検査も
手足口病は症状で診断します。ほとんどが発疹の範囲と特徴を見るだけで確定診断できますが、はっきりしない場合は血液検査を行います。血液検査の場合は2週間程度空けて2度採血を行い、原因となるウイルスに対する抗体が1度目より2度目の検査で上昇していた場合、手足口病だと確定診断します。過去にかかったかどうかを調べたい場合は、1度の血液検査で十分です。便やノドを擦った綿棒などからウイルスを分離して確認する方法もありますが、時間と費用がかかるため現実的ではなく、現在では行われていません。RNAウイルスですので、ウイルスの遺伝子を検出する逆転写酵素(reverse transcriptase)を用いたRT-PCRによる遺伝子検出する方法もありますが、保険診療ではできません。
手足口病の治療法・対策法については「手足口病の治療法・合併症・登園と登校の目安」をご覧ください。
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