放射線治療にもある副作用や後遺症の可能性

放射線治療

放射線治療にも副作用はあります。しかし抗がん治療とは異なり、放射線が照射された部位のみに出るのが特徴です


複数のメリットがある放射線治療ですが、放射線を当てた部位に副作用や後遺症が起きる可能性があります。治療を行っている期間に見られる副作用と、治療終了後に見られる後遺症について解説します。
 

放射線治療中の副作用

抗がん剤では、放射線が照射された部位に一致して副作用が出ます。しかし、それ以外のところには目立った副作用が現れないのが通例です

抗がん治療と異なり、放射線が照射された部位のみに副作用が出るのが特徴

放射線は腫瘍本体や転移した病巣、また、再発や残存が予想される部位に照射します。ただ病巣の周囲には必ず正常な組織もあるので、それらも影響を受け、皮膚炎や脱毛などの症状が起きることがあります。

これらの症状は放射線治療後に自然に落ち着いてきますが、代表的なものは以下の通りです。

■放射線性皮膚炎
放射線を照射した部位の皮膚が軽いやけどのような状態になります。皮膚に赤みが出たり、かさつきやかゆみが見られたりする他、回数によっては色素沈着が見られるケースもあります。

対策としては、氷嚢などで冷やしたり、抗炎症作用のある軟膏を使用したりします。また、皮膚の表面の炎症がひどくなり、浸出液が見られるような「びらん」になってしまった場合、洗浄した上でドレッシングという専用の保護材で皮膚を覆う必要があることもあります。

■脱毛
頭部に放射線を照射した場合、脱毛も見られます。頭部以外に照射して脱毛が起きることはありませんが、現在では放射線治療と化学療法を同時に行うことも多いため、放射線治療中に化学療法による脱毛が見られることもあります。

■口や喉の乾燥・ドライマウス
頸部や胸部への放射線治療では口腔や食道の粘膜が炎症を起こし、喉がいがっらぽくなる他、しみたり痛んだりするために、食事を摂ることが難しくなることもあります。また、唾液が出づらくなってドライマウスのような状態になることもあります。口当たりの良いゼリーやお豆腐を使ったり、味付けをマイルドにしたりといった食事の工夫に加え、時間を決めてうがいをしたり、人工唾液を処方したりといったことで対応します。

■全身の倦怠感
何とも言えない全身の倦怠感が見られることもあります。倦怠感がひどく食事が摂りづらい場合は、点滴などで水分や電解質の補充をすることもあります。基本的には照射が終わると症状が自然に軽減していきます。
 

放射線治療後の後遺症と対処法……放射線性肺炎・直腸炎・膀胱炎

放射線治療が終わった後にも改善せず長引く副作用、また、放射線治療が終わった後に見られる後遺症があります。代表的なものを以下で解説します。

■放射線性肺炎
胸部に放射線を照射した場合、肺に影響が出ることがあります。肺の組織が炎症を起こして「放射性肺炎」と呼ばれる状態になると、長引く咳や、軽い呼吸困難感などの症状が起きることがあります。根本的な解決法はありませんが、咳止めやステロイド剤などで対症的治療を行います。

■放射線性直腸炎・放射線性膀胱炎
腹部に放射線を照射した場合、照射部位にある直腸や膀胱の粘膜が障害を受けます。その結果、「放射線性直腸炎」や「放射線性膀胱炎」と呼ばれる状態になり、長引く下痢や、下血、血尿や排尿時痛といった症状が起きることがあります。根本的な解決法はありませんが、解熱剤、鎮痛剤、止血剤などの投与で対症的治療を行います。
 

放射線治療の副作用・後遺症で誤解してはいけないこと

放射線治療については、治療前の説明から、治療中や治療後に見られる副作用、そして、セカンドオピニオンまで、専門家に相談して納得することが、安心のがん治療につながります

治療前~治療後まで、放射線治療のすべてをカバーしてくれる専門家は心強い存在です

放射線治療の主な副作用は上記の通りですが、注意していただききたいのは、これらの副作用は決して全員に見られるわけではないということです。

むしろいずれの症状も比較的まれで、照射していない部位には症状は見られません。くどいようですが、これが抗がん剤治療の副作用とは大きく異なる点です。

近年では、放射線治療に関する専門医や認定医も登場しています。放射線治療を始める前だけでなく、開始後に副作用が見られた時や、放射線治療に関するセカンドオピニオンを得たい時には、これらの専門家に相談するのが良いと思います。

放射線治療はどんどん外来治療として行う方向になってきています。副作用が出たからといって、通院と放射線治療を自己判断で中断しないということも重要なことですので、強調しておきたいと思います。
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