起床時の空腹時血糖値が高い3つの理由
空腸時血糖値100mg/dl以下は正常型。100~109mg/dlは「正常高値」。110~125mg/dlは境界型。126mg/dl以上は糖尿病型と判定されます
- 暁現象 (ドーン・フェノメノン、dawn phenomenon)
- ソモジー効果 (Somogyi effect)
- インスリンの減少
起床時血糖値をあげる暁現象と対策法
私たちのからだは生活リズムに応じ、いろいろなホルモンのレベルを上げたり下げたりしています。たとえば夜明け前の午前4~5時頃になると、成長ホルモンやコルチゾルなどの分泌量を増やして一日の活動開始に備えます。この成長ホルモンやコルチゾルには血糖値を上げる効果があります。糖尿病でなければインスリンを分泌して血糖値を一定に保てるのですが、糖尿病だとそのまま血糖値が上がってしまいます。これらのホルモンの効果は人によって異なりますし、個人でも日によって変化します。全く同じ食事とエクササイズをしても、毎日早朝の空腹時血糖値が違う場合、この「暁現象」も理由の一つ。
治療法によっていろいろな対策法があります。成長期の1型糖尿病の少年・少女なら、このタイミングにNPH(インスリン)のピークを合わせる方法もありますし、2型糖尿病ならメトホルミンを服用して肝臓からのブドウ糖の放出を抑える方法も有効です。
起床時血糖値をあげるソモジー効果と対策法
ソモジー効果(Somogyi effect)はこの現象を研究して初めて発表したマイケル・ソモジー博士(Michael Somogyi)の名に因んだ症状。過剰な薬物、食事の不足、アルコールなどで寝ている間に低血糖になると、からだがそれに応じて血糖を上げるホルモンのグルカゴンなどを分泌して対応するため、早朝血糖値が高くなるという現象ですが、名前はよく知られている割に、めったにない症状です。実際にそんなことが起きるのか?と議論が分かれるところでもあります。
1型糖尿病の人がインスリンを使いすぎたり、アルコールの摂取、夕食が少な過ぎたりすることに起因すると考えられます。
ですから対策は前の「暁現象」の逆。血糖が下がり過ぎないように就寝時にスナックを取ったり、就寝中の低血糖を避けるためにピークのあるインスリンのNPHをフラットな基礎インスリンのトレシーバに代えたりすることが勧められています。
起床時血糖値をあげるインスリン不足と対策法
以上の2つはからだのホルモンの相互作用が問題の本質ですが、最後のインスリン不足の原因はとてもシンプル。2型糖尿病で起床時高血糖の場合、ほとんどの原因はこれです。インスリン分泌の減少や作用の低下によって肝臓からのブドウ糖の放出が続き、寝ている間に少しずつ血糖が上がってしまう現象です。
対策としては基礎インスリンの導入、すでにインスリンを使っている人は基礎インスリンの注射の増量やタイミング、分割を検討し、経口薬ならメトホルミンを服用するのが有効と考えられます。
起床時高血糖の原因を調べる方法
食後の高血糖は食事や運動の見直しである程度コントロールできますが、早朝空腹時の高血糖は薬の調整あるいは導入が必要になる場合があります。就寝時に血糖値をしっかり下げておいても寝ている間に上がってしまうので、自分の努力ではどうしようもありません。血糖を一晩に3回チェックすれば原因の見当がつきます。目安として就寝時、午前3時.、起床時の血糖を記録するのです。
- もし、就寝時と午前3時の血糖がほとんど同じでも起床時に上がっていれば「暁現象」だとも考えられます。
- もし、午前3時.の血糖値がいつも低下していれば「ソモジー効果」の可能性があります。
- もし、午前3時の血糖値が就寝時よりも高く、起床時がさらに上がっていればインスリン不足が原因と考えられます。