目の検診は毎年行うこと。糖尿病の「眼」に精通した眼科医に診断してもらいましょう。 |
幸いなことに今日では糖尿病合併症を予防したり、発症・進行を最小限に抑えることが可能になってきましたが、合併症はいずれも専門性の高い病気です。その分野に精通した専門医に診断・治療を受ける必要があります。
合併症は発症した時点で既に手遅れなのです。そのため、一般医やかかりつけ医に全てを任せっきりにするのではなく、患者自身が問題の自覚と異常の早期発見、適切なケアを心掛ける必要があります。
糖尿病の3大合併症
最悪の場合は失明に至る糖尿病網膜症、透析が必要になる糖尿病腎症、足の切断などの糖尿病神経障害は、糖尿病の3大合併症としてよく知られています。実は、これらは血液中のブドウ糖を取り込むのにインスリンを必要としない細胞・器官なのです。そのため、血液中の過剰なブドウ糖がそのまま細胞内に過剰に入ってしまうので、処理ができずに細胞が損傷したり、ブドウ糖による糖化すなわち劣化、老化してしまうのです。皮肉なことにインスリンが無いとブドウ糖を取り込めない筋肉細胞や脂肪細胞には合併症が起りません。
その他の合併症
糖尿病になると高血圧、脂質異常にもなりやすくなるので全身の血管がダメージを受けます。特に脳卒中(脳梗塞)や心筋梗塞、狭心症、不整脈、皮膚の感染や疾病、骨粗鬆症、突発性難聴、歯槽のうろう、顔面神経麻痺、自律神経障害、下痢、便秘、排尿障害、EDや女性のセックストラブル、認知症、下肢動脈硬化症、四十肩など、ありとあらゆる全身のさまざまな障害リスクが2~4倍も高くなります。これらも広義の合併症です。合併症の予防法
基本は血糖値をなるべく正常値に近づけることです。これがキホンのキ。それと併せて、次のことにも注意せねばなりません。
1. LDL(悪玉コレステロール)
2. 血圧
3. 尿タンパク
4. 散瞳した目の検査
5. 神経のモノフィラメント検査
6. 足の変形、神経障害の定期チェック
生活態度としては禁煙、減量、運動の他に、糖尿病教育を積極的に受けるようにしましょう。合併症を直視することから予防が始まります。