アルコール依存症とは

アルコール依存症の特徴・症状

肝機能や性機能低下を引き起こすだけでなく、心の病気とも合併しやすいアルコール依存症。正しい知識を持っておくことが大切です


お酒と無縁の生活は難しいもの。仕事上の付き合いで仕方なくという方も、帰宅後の晩酌が日々のストレス解消に欠かせなくなっているという方もいらっしゃるでしょう。

少量の飲酒はストレスを緩和し、心血管系によいという報告もあり、アルコールは一概に悪者扱いできません。ただ、飲酒の量、頻度が1日ワイン1杯程度の適量を超え、慢性的な大量飲酒の習慣がついてしまっている場合、常に気持ちが冴えなくなり、寿命も10年以上縮まってしまう可能性も指摘されています。

今回は飲酒をコントロールできなくなってしまうアルコール依存症の特徴、原因、症状について、詳しく解説します。
 

アルコール依存症の特徴……飲酒量の自制や依存状態からの自力脱出が困難に

「アルコール依存症」と診断されるほどアルコール依存が進んでしまうと、アルコールを前にした時、自分の意思では飲酒量をコントロールすることが大変困難になります。アルコールが手元にない場合は、何としてもそれを手に入れようとすることに時間や労力を費やしてしまい、それは毎日の生活がアルコールに支配されているような状況です。アルコール依存が強くなってしまうと、依存状態から自力で脱出することは大変困難です。

もっとも、飲酒習慣がある人全てが必ずアルコール依存症になるわけではありません。軽度の場合も含めても、飲酒習慣がある人の1割前後で収まるでしょうが、ご注意したい状況として、飲み始めると必ず記憶がなくなるまで飲んでしまうような人はいませんか? 周りからは「意思が弱い」といったネガティブな言葉で扱われがちですが、コントロールがきかなくなることは決して意思の弱さや性格の問題だけでは片付きません。次に述べるような複数の要因が相互作用した結果なのです。
 

アルコール依存症の原因……遺伝・飲酒の開始年齢・ストレス・生活環境など

アルコール依存症になるほど飲酒量がエスカレートしていく背景には、以下のような要因があります。
  • 本人の遺伝情報
  • 飲酒の開始年齢
  • 気持ちの慢性的落ち込み
  • 不安定な人間関係などの心的要因
  • 生活環境
  • 日常のストレス
こうした要因の相互作用で、アルコール依存が進行した結果が、治療が必要なアルコール依存症です。中でもご注意したい要因は、「本人の遺伝情報」と「飲酒の開始年齢」です。

飲酒を始めたそもそものきっかけが単なる好奇心でも、それがエスカレートしてしまうのは、アルコールの脳への作用の仕方が大きく関与してきます。これは遺伝子レベルで定まる生物学的要素でもあり、「本人の遺伝情報」はアルコール依存症に対する主要なリスクファクターだとみなされています。

特に脳がまだ完全に成熟しきっていない10代での飲酒は、アルコール依存症へのリスクを高める行為です。アルコールの脳への作用自体を変化してしまう可能性も考えられるため、10代での飲酒習慣は基本的に避けるべきものなのです。
 

アルコール依存症の症状……肝機能・性機能・認知機能の低下など

長期間にわたるアルコールの過剰摂取は、体の生理機能に深刻なダメージを与えるものです。飲んだアルコールが肝臓で代謝されて排出されるまでに生じる代謝産物と、そうした状況でありがちな、栄養バランスを欠いた食生活など不規則なライフスタイルが重複すると、肝機能低下がさらに進んでいく、心血管系に問題が生じて性機能低下、認知機能低下などのさまざまな症状が現れることがあります。

体への大きなダメージが自覚できても飲酒がやめられなくなるのは、アルコールに対する強烈な欲求とともに、アルコールがもたらす生理機能の変化もあるため。それまでより多く摂取しないと同じ効果が得られなくなる「耐性の形成」がアルコール量を増加させることや、また、アルコール摂取を中断したときに起きる不快な「退薬症状」が、アルコールを手放せない要因になります。
 

退薬症状とは……不眠・動悸・手の震え・頭痛・イライラ感など

主な退薬症状は以下の通りです。
  • 気分の不快感
  • 不眠
  • 発汗、動悸など自律神経系の亢進症状
  • 手の震え
  • 頭痛、腹痛
  • 痙攣
  • 強いイライラ感

退薬症状の内容や深刻度は、アルコールの摂取期間、摂取量、個人の健康状態などの要因によって差異がありますが、その時点での当人の健康状態によっては、生命に危険を及ぼすほど深刻になる可能性もあります。
 

半数の人にうつ病・反社会性パーソナリティー障害などの合併も

また、アルコール依存症には他の心の病気を合併しやすいという問題もあります。アルコール依存症の約半数が、うつ病、反社会性パーソナリティ障害などの心の病気も合わせて抱えているものです。もともと他の心の病気があれば、その精神症状への対処としてアルコールを求めてしまうことも多い一方、アルコール依存症自体、その心の病気を深刻化させやすい面もあり、悪い方向への相乗作用が起きやすいのも問題です。そして、その間、気持ちが病的に落ち込むと死にたい気持ちが出てくる可能性もあり、うつ病同様、アルコール依存でも自殺リスクは大きな問題です。

以上のようにアルコールへの依存が強固なアルコール依存症では、多大なダメージが心身に及んでも、自力でその状態から抜け出すことは非常に困難です。依存症から回復するためには適切な治療を受けることが不可欠なのことは、当人も周りの方も頭にしっかりおきたいポイントです。

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