喜びをもたらすはずの子供の誕生が、うつ病のきっかけになってしまう事があります。 |
しかし、喜びをもたらすはずの子供の誕生が、意外にも、うつ病のきっかけになってしまう事があります。今回は産後うつ病について、お話したいと思います。
うつ病の始まりは一見、マタニティ・ブルー
出産直後は喜びで気分が高揚するものの、その後、気分が憂鬱になってしまうマタニティ・ブルーは多くの方が経験しています。通常、数週間以内で消失し、精神医学的に問題のある現象ではありません。しかし、憂鬱な気分が数週間経っても収まらず、以下のような症状が出現している場合は注意が必要です。意欲の減退<今まで楽しめていた事が楽しめない<睡眠障害<食欲低下<涙もろい<集中力の低下<感情の振幅が大きい<性に興味が湧かない<社会的な引きこもり
これらの症状と共に、生活上、自分がうまく機能しなくなってしまったら、産後うつ病の可能性があります。産後うつ病は出産直後とは限らず、出産後半年以内のいつでも起こり得ます。次に産後うつ病の原因とリスクの高い人について述べます。
産後うつ病の原因
うつ病は生活環境で生じるストレスや本人の体質的な要因が複合的に組み合わさって発症します。産後うつ病では、こうした一般的なうつ病の原因の他に、出産後に急激に変化する体内のホルモンが発症に関与しています。妊娠中は女性ホルモンの血中レベルは高く維持されていますが、出産後、急激に低下して、妊娠前の元のレベルに戻ります。また、出産後、体内の代謝を調節する甲状腺ホルモンのレベルが低下し、気分が落ち込む原因となる事があります。
出産後の急激な女性ホルモンの変動はすべての人が経験しますが、もちろん、大部分はうつ病とは無縁です。実際に、うつ病が発症するのは10%程度です。これらの人達は、体質的に女性ホルモンの変動に気分が左右されやすかったり、生活上、大きなストレスを抱えている場合が多いです。
男性は、出産後の女性の体には生理的な大きな変化が生じて、うつ病のリスクが高い状態になっている事を理解して、相手を大切にケアしましょう。
産後うつ病のリスクの高い人
以下のような場合は出産前後のストレスが大きく、また、女性ホルモンの変動が気分へ影響を与えやすいので、産後うつ病のリスクが高まります。- 早産、難産など、出産が順調でなかった時
- 妊娠中の病気
- 予期していなかった妊娠
- パートナーと不仲で、サポートが得られない
- 経済的な不安
- 過去にうつ病、特に、産後うつ病の経験
- 月経前後に精神的に不安定になりやすい