悪性の卵巣腫瘍が「卵巣がん」
早期発見には定期的な検査が大切です
この中で明らかな悪性腫瘍のものが「卵巣がん」です。悪性と良性の間くらいの性質を持っている腫瘍は「境界悪性腫瘍」と呼びます。
卵巣がんの初期症状…検診・検査で発見されることも
卵巣は「沈黙の臓器」と呼ばれていて、悪性でも良性でも卵巣が多少腫れている程度では全く症状が出ません。腫瘍が極端に大きくなるとお腹の圧迫感などで気づくこともありますが、婦人科検診や他の症状で内科の診察を受けたときなどに、たまたま発見されるケースの方が多いです。おへその高さを超えるくらいの大きさになると、さすがに下腹が圧迫されるため、「何となくお腹が張る」「ウエストがきつい」といった症状を自覚することもあるようですが、中には20cm程の腫瘍があっても検査まで何も気づかなかったという患者さんもいらっしゃいます。
初期症状がない分、見つかったときにはすでに進行していることがほとんど。これが、卵巣がんが「サイレントキラー」といわれる所以なのです。
卵巣がんの初期症状・自覚症状が出にくい理由
「沈黙の臓器」と呼ばれる卵巣。初期症状が出にくいのも特徴の一つ
しかも子宮の両側にハンモックで吊るされたような形でルーズに存在しているため、痛みも圧迫症状も出にくいの臓器なのです。
卵巣がんを早期発見する方法は検査
沈黙の臓器である卵巣がんを早期発見するには、定期的に超音波検査を受けるしかありません。卵巣が5~6cm以上に腫れると、卵巣を支えている靭帯がグルッと捻れてしまうことがあります。卵巣のう腫の「捻転」といって、この状態になると立っていられないほどの激痛が突然現れるので、たいていは救急受診してそのまま手術になります。たまに、捻じれかかっては自然に元に戻るといった中途半端な「捻転」を繰り返す方もいらっしゃるようで、突然痛くなったりしばらくすると治まったりといった症状を繰り返します。こういった捻転を疑う症状がある場合は、例え良性腫瘍であっても早めに手術しておくことをお勧めします。
卵巣がんの確定診断のためには手術が必要
卵巣腫瘍が見つかった場合、主に超音波検査やMRIなどの画像検査を行います。悪性の卵巣がんである可能性が高い場合は、腫瘍マーカーやCT、胃カメラ、大腸カメラなどの詳しい検査を併せて行うことも。卵巣がんの中には「転移性」といって胃がんや大腸がんからの転移によるものもあるので、消化管の検査が必要になるのです。しかし、最終的に悪性かどうかは卵巣のう腫そのものを取り出して病理検査に出し、顕微鏡で細胞を見なければ確定診断できません。つまり手術をするまで良性か悪性かのはっきりとした確証は得られないのです。あくまで画像や腫瘍マーカーの値から「悪性の可能性が低いか高いか」を予測するに過ぎません。
超音波やMRIで明らかに良性腫瘍の見え方をしていてもも、腫瘍マーカーの数値などに少しでも悪性を疑う所見があった場合は、万が一悪性だった場合のことを考え、できるだけ早めに手術をするように勧められます。
卵巣がんの治療は、基本的に手術法と手術後の抗がん剤治療です。詳しくは「卵巣がんの治療法・予防法」をご覧下さい。