月経痛治療の第一歩は「生活改善」
生活改善・痛み止め・低容量ピル・手術……症状に併せて、正しい治療法を選ぶことが大切です
はっきりとした原因がないのに痛い場合や、原因となっている病気に対して手術などの積極的な治療を行う必要がない場合は、治療の目的は「痛みを軽くすること」になります。生活改善を行ったり、薬を上手に活用して痛みを和らげていくわけです。
どんな病気にも言えることですが、まず大事なのは生活改善。ストレスをためない、良質な睡眠を取る、体に害のある食品を口にしない、体を冷やさない……こういった日々の積み重ねを行わずに薬などで治療を行っても、根本的な解決にはなりません。
特に、女性にとって大敵の「冷え」を改善することは月経痛だけでなく、あらゆる婦人科の病気改善につながると思っていいでしょう。体の内部を冷やさないためには、薄着をしない、毎日寝る前にきちんと湯船につかる、冷たい飲み物や体を冷やす食品を摂り過ぎない、発酵食品や精製していない食品を食べる、定期的に運動をするといったことを心がけることをオススメします。
月経痛はあるけれどそこまでひどくないという人は、生活改善だけで痛み止めが必要なくなってしまうこともあります。
月経痛の対症療法は痛み止めの薬を
手っ取り早く月経痛の痛みを抑える方法は、痛み止めを「早めに」飲むことです。「早め」というのは、しっかり痛みが出てしまってからでは、痛み止め効果が充分に発揮されないことが多いため。痛みをギリギリまで我慢してから痛み止めを飲むと、すでに痛みの伝達物資が大量に放出された後なので、焼け石に水ということになってしまいます。「ちょっと痛いかな……」くらいの時に早めに1錠飲んでしまえば、その後何度も追加で飲まなくてもすむことが多いのです。ただし、痛み止めはあくまで痛みを「抑えている」だけの対症療法に過ぎません。根本的な治療ではないということを分かった上で上手に活用してくださいね。
体質的に冷えや血行不良がある人は、体を温めたり血液の流れを良くするような漢方が有効なこともあります。婦人科でよく使うのは、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」など。これらの漢方は、滞った悪い血を押し流してくれる働きがあります。これらと子宮の収縮を和らげるような漢方を組み合わせて痛みをコントロールしていくこともあります。
月経痛にも有効な低用量ピルの活用法
漢方では効果がイマイチだったり、月経量が極端に多い人に有効なのが、低用量ピル。低用量ピルは卵巣から出ている2種類の女性ホルモンが合成されて作られているホルモン剤で、もともとは避妊のために作られたものです。避妊目的、つまり「健康な女性が長期間使う」ということを前提に開発されているので、普通の薬よりも非常に厳しく安全性が確認されているのも特徴です。ピルを飲むと、だんだんと月経量が少なくなってきます。これは、ピルに「子宮内膜」をあまり分厚くさせない作用があるため。痛みの伝達物質であるプロスタグランジンを作る場所である子宮内膜が薄いままだと、プロスタグランジンはあまり作られないので痛みも軽くなるという仕組みです。しかも出血が少ないと子宮があまり強く収縮しないので、さらに痛みは出現しにくくなります。
ピルは子宮内膜症が進むのを防いだり、粘膜下筋腫で出血量が増えてしまうのを防いだりする働きもあるので、これらの病気があって月経痛がひどくなっている人にもとても有効。
ただ、内膜症のせいで月経痛がひどくなっている人の場合、ピルだけでは効果が不十分なこともあります。ピルを3ヶ月以上飲んでも痛みが改善しない場合は、黄体ホルモン剤や月経を止める治療に切り替えていった方がいいこともあるので、主治医とよく相談してください。
ひどい月経痛には手術という選択肢もあり
内膜症や筋腫がある人は、手術という選択肢もあります。特に粘膜下筋腫や子宮腺筋症の場合、その病変部分を切り取ることで随分症状が改善することがあるので、手術以外の治療がどれも無効で耐えられないような月経痛が続く場合は、手術を検討した方がいいでしょう。【関連記事】