更年期とは
更年期障害は体からのSOS
更年期とは、閉経を挟んで前後10年の時期のことを指します。閉経の平均年齢は約50歳なので、標準的には大体45歳~55歳が「更年期」ということになりますが、閉経年齢には個人差があるため、早い人は40代前半で更年期に差し掛かることも。
更年期はその年齢を迎えた女性には誰にでも訪れるもの。しかし「更年期症状」と呼ばれるその時期に出現する心身の様々な不調の現れ方は人それぞれです。更年期症状が極端にひどく、日常生活にまで支障をきたしてしまう場合を「更年期障害」と言い、治療の対象になります。
更年期障害の症状
更年期障害の症状としてよく言われているのが、のぼせ・ほてりといった「ホットフラッシュ」。この時期に出現する症状は非常に多岐に渡ります。■体の症状
のぼせ・ほてり・発汗・めまい・頭痛・息苦しさ・胸の痛み・膝やかかとの痛み・喉のつかえ感・疲れやすさ・皮膚の乾燥感など
■心の症状
イライラ・不眠・気分の落ち込み・やる気が出ない・集中力の低下・性欲の低下など
ずっと続くめまいが更年期のせいだと気付かず、内科や耳鼻科を何箇所も回ったり、脳神経外科で脳の精密検査まで受けてこられる方もいらっしゃいます。検査では何も異常がなく、症状の改善もないのでと婦人科に相談にいらして、ホルモン治療を始めたとたんにすっかり症状が消えて驚く方も少なくありません。月経がまだきちんと来ていても、更年期症状が出る方もいらっしゃいますので、40歳を過ぎて「何だかよくわからない体調不良」が続いた時は念のため婦人科で相談してみることをお勧めします。
もちろん、胸の痛みが心臓の病気のせいだったり、めまいや耳鳴りが脳腫瘍のせいだったりすることもありますから、どの症状も「きっと更年期でしょう」と放置せず各科での精密検査は受けた方が安心です。
更年期障害の受診の目安・治療法
更年期かもと思ったら、まずは婦人科を受診しましょう。実際にホルモンのバランスが更年期のパターンになっているかどうかは、血液検査をすればすぐに分かります。また、症状の強さによって点数をつけていく「更年期指数」という指標があるので、それらの結果を元に、治療の必要性の有無を判断していくことになります。更年期は誰もが経験するものなので、多少の体調不良があっても日常生活には全く支障がないのであれば、絶対に治療しなければいけないというものではありません。この時期は、心身の色んな不調が出やすいのと同時に、今まで多少無理ができていた人でも体力や抵抗力が落ちる年齢ですので、そのことを自覚した上で日常生活を見直していくといいでしょう。更年期の過ごし方は、全てにおいて今までの8割くらいにペースダウンすることがポイントです。
逆に、更年期症状がひどすぎて日常生活もままならない時は、早めに治療を開始した方がいいでしょう。中には、うつ状態がひどくて家事が何もできなくなったり一歩も外に出られなくなったりする方もいらっしゃいます。また、関節やかかとの痛みがひどくて歩くのが難しくなった方もいらっしゃいました。いずれも2~3ヶ月ホルモン補充療法をするだけで症状の大部分は改善します。辛い症状は我慢せず、適切な治療を受けて快適に過ごしましょう。