女性の現代病? 月経前症候群・PMSの特徴
忙しい現代女性に多いPMS。月経が始まるとケロリと治るのも特徴
排卵後から2週間近く具合が悪い人もいれば、月経直前の1日だけ寝込んでしまうほど症状がひどい人もいます。
最近は女性誌で特集が組まれたり、ネットでも検索されるようになってきたPMSですが、一昔前までは婦人科の教科書にすら載っていませんでした。昔も、「なんだか毎月同じ時期に極端に体調が悪くなるな」「生理前だけ性格が変わってしまうみたい」と感じていた人はいたはずですが、PMSという病気の概念がなかったため、病院で相談しても「精神的なもの」とか「我慢が足りない」といったことで取りあってもらえなかったのではないかと考えられます。
また、昔は月経が始まると数年で子どもを産み始め、立て続けに何人も出産することが多かったため、妊娠や授乳による無月経期間が今よりも頻繁にありました。月経回数が少ない分、月経前の症状に悩まされることも少なかったわけです。現代は、晩産化・少子化のために一生のうちに迎える月経の回数が極端に増えました。その上、ハードワークや様々なジェンダープレッシャーにさらされているので、ストレスのせいでPMSになる女性も急増しています。そういった意味で、PMSは現代病と言えるでしょう。
月経前症候群(PMS)の主な症状
PMSの症状は本当に様々。患者さんによっては、手の痺れなどの少し珍しい症状を訴える方もいらっしゃいます。特によく見られる症状をまとめました。■ PMSの体の症状で多いもの
- 月経前の下腹の痛み
- 腰痛
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- ひどいむくみ
- 便秘
- ニキビ
■ PMSの精神的な症状で多いもの
- 月経前のイライラ・気分の落ち込み
- 集中力の低下
- 仕事ができなくなる
- 不眠や過眠
- 理由もなく突然泣きたくなる
- 過食
- 甘いものばかり食べ過ぎる
中には精神症状があまりにもひどくて、「自分がコントロールできない」と言って駆け込んでこられる方もいらっしゃいます。精神症状が重くなると、突然爆発したように怒り始めたり、涙が止められなくなったり、自分でも感情が制御できなくなってしまうこともあるのです。
月経前症候群・PMSの原因
月経前だけ上記のような様々な症状が出るはっきりとした原因は解明されていません。一説では、排卵後にたくさん分泌される「黄体ホルモン(=プロゲステロン)」が悪さをしているのではないかと言われています。排卵後に黄体ホルモンが急激に増えることでホルモンバランスが一時的に不安定になり、それによって起こる感情の「波」に振り回されてしまうのです。PMS症状で日常生活に支障が出ている場合は要注意
PMSかどうかの診断は、体調や気分の変化があっても日常生活が普通に送れているか、仕事に影響が出ていないかなどの問診を中心に行われます。月経前は誰もが多少体調が悪くなったりイライラしやすくなったりしますが、それらの変化が極端で日常生活に支障をきたすレベルと判断されると、PMSと診断されます。月経が来たとたんにケロっと治ってしまうのが特徴なので、基礎体温をつけながら体調の変化を記録することで、自分でもPMSなのか見当をつけやすくなると思います。
PMS症状の治療法・改善法については「あなたも月経前症候群? PMSの症状・治療法」や「月経前症候群(PMS)の改善法・治療法・受診の目安」で詳しく解説していますので、あわせてご覧下さい。