急性心不全は命に関わることもある危険な病気。すぐに病院へ行く必要があります
急性心不全の治療の基本は
- 急性心不全の原因の治療
- 急性心不全そのものの治療
急性心不全の原因の治療
急性心不全の原因として以下の病気が確認できる場合、原因となっている病気の治療が先になります。- 弁膜症……心臓の弁の病気
- 虚血性心疾患……狭心症、心筋梗塞、それに続発する心室中隔穿孔などの病気
- 心筋症・心筋炎……拡張型心筋症など心筋の病気や、ウィルスなどで心筋が壊れる病気
- 先天性心疾患……生まれた時からの心臓病
- その他……心膜の病気や心臓腫瘍など
上記病気である場合はもちろん、上記の病気の症状が急に出てきた場合も同様です。
急性心不全そのものの治療
慢性心不全とは違い、急性心不全の場合は、命にかかわる危篤状態になることもあります。病院に入院し、緊急治療が必要となることが多いです。急性心不全時に行われる主な治療法は以下の通りです。■酸素吸入と薬の投与
急性肺水腫は心不全のため肺に水分が貯まって発生します。呼吸が十分できなくなり危険です
急性心不全で急性肺水腫に伴って生じる不安感を和ためにモルヒネを使用することもあります。この場合のモルヒネは不安感の緩和だけではなく、呼吸数や心拍数を低下させ、血管を拡張させて心臓にかかる負担を減らしてくれるという効果もあります。
■人工呼吸器と強心剤の投与
上記の治療を行っても呼吸が十分に改善しない場合は、呼吸チューブを気管まで入れる気管内挿管を行い、人工呼吸器によって呼吸を補助します。
強心剤は心臓のパワーを上げますが、同時に消耗させるリスクもあります。もし可能ならあまり長期間使わないほうが望ましいです
■IABPやPCPSによる心臓の補助
さらに重症の場合は、「IABP」(アイ・エー・ビー・ピー)という細長い風船を大動脈に入れ、それをリズミカルに膨らませ、心臓の補助をしたり、それでも対応できない超重症ではPCPS(ピー・シー・ピー・エス)という人工心臓を装着して循環を助けます。
心不全もこのレベルになると、心臓があまり動いていないことが多いです。治療にも相当な覚悟と頑張りが必要です。しかし中には急場をしのげばもう少しじっくりと治療できるようになる場合や、心筋炎などのようにすっかり元気になれるケースもあるので、諦めてはいけません。医療サイドで大切なことは、状態を正確に把握し、的確な治療を行うことなのです。
参考――高額療養費制度について
大きな治療の場合は高額になることも多く、高額療養費制度をうまく活用しましょう
この手続きのできる方には条件がありますが、ご活用されることをお勧めします(限度額適用認定書の発行)。
Q1 自己負担はいくら?
A1 所得によって3段階にわかれています。具体的には以下の通りです。
- 上位所得者 15万円+〈(かかった医療費の総額)―50万円〉×1%
- 一般 8万100円+〈(かかった医療費の総額)―26万7千円〉×1%
- 市町村民非課税世帯 35,400円
Q2 どこで手続きをしたらいいの?
A2 限度額適用認定書の発行手続機関は以下の通りです。
- 国民健康保険 住所地の市町村役場(国民健康保険課)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ) 管轄の社会保険事務所(保険証に記載されています)
- 健康保険組合 健康保険組合又は会社の担当者
参考サイト: 心臓外科手術情報WEB