肺・気道の病気/結核・肺結核

結核と区別すべき病気・治療

結核と同様の症状が出る病気に、マイコプラズマ肺炎、百日咳、咳喘息や肺癌などがあります。区別すべき病気と、結核の治療法、副作用について解説します。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

結核と区別すべき病気

変な咳が長引くからといって結核とは限りません。同様の症状で違う病気と正確に区別する必要があります

咳がひどく長引くから結核とは限りません。同様の症状の違う病気と、正確に区別する必要がある

長引く咳を特徴とする病気は、結核だけではありません。結核と同様の症状が出た場合は、結核治療を考える前に以下の病気の有無を併せて検査し、確定診断する必要があります。
  • マイコプラズマ肺炎……マイコプラズマに対する炎症のために咳が出る
  • 百日咳……百日咳菌に対する免疫反応結果で咳が出る
  • 慢性副鼻腔炎……副鼻腔からの膿が気道に落ちることで咳が出る
  • 咳喘息……風邪をこじらせ、風邪が治った後も咳だけが長引く
  • 喘息……アレルギーのため咳が出る。呼吸困難になることがある
  • 肺癌……腫瘍の部位によっては初期症状として咳がでる
長引く咳のうち、マイコプラズマ肺炎は抗生物質投与で咳が軽くなります。上記の病気のどれかを特定するには、胸部のレントゲン撮影やCTスキャン、鼻腔の CTスキャンなどの画像診断と、喀痰の微生物学的検査が主な検査となります。画像診断で結核が疑われても、微生物学的検査で結核菌が確認された場合に初めて結核であると診断されます(詳しい検査法については、「結核の検査法」をご覧ください)。

微生物学的検査は、結果が出るまでに数日から数週間かかります。その間はマスクなどを使い、咳エチケットを守りましょう。

結核の治療法(薬・注射など)と治療期間

結核の治療は、結核菌に有効な「抗結核剤」を使って行います。飲み薬に加え、一部注射で投与するものなど、複数の薬を組み合わせて投与します。一つの薬ではその薬に対抗する力を持った「耐性菌」が生まれることがあるため、複数の薬剤を組み合わせることが重要です。

結核の治療自体は入院しなくても可能ですが、患者自身の治療よりも「患者からの感染拡大を防止する」という目的のため、通常は入院が必要となります。患者の自覚症状ではなく、感染の恐れがある菌の排出状況によって入院期間が変わって来ます。そのために入院期間は数週間から数ヶ月程度。薬剤の効きが悪かったり、全身状態が悪かったりすると、1年を越えて入院が必要になる場合もあるのです。薬の投薬期間は、入院期間中を含めて6ヶ月以上必要です。

結核治療薬の注意点・副作用

抗結核薬の服用中は、薬剤の副反応を定期的に調べる必要があります。肝機能障害を起こしやすい薬剤を組み合わせるので、退院して外来通院となってからも、服薬している間は定期的に採血して肝機能を調べます。抗結核薬を服用中は原則として禁酒するようにしましょう。また、注射で投与する薬は聴力に影響するので、使用する場合は聴力検査の実施が推奨されています。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます