どうして自律神経失調症になるの?
大脳新皮質→大脳辺縁系→視床下部へと影響し、自律神経が乱れる |
この自律神経は、脳の「視床下部」というところでコントロールされています。この視床下部は、本能的欲求や感情を司る「大脳辺縁系」によって支配され、さらに大脳辺縁系は、理性を生み出す「大脳新皮質」によって支配されています。
したがって、ストレスなどによって理性が働き過ぎると、大脳新皮質が大脳辺縁系の働きを抑えてしまうため、食欲や睡眠などの本能的欲求が抑えられたり、感情が乏しくなってしまいます。そして、これらのトラブルは視床下部の働きにも影響するため、自律神経のバランスが乱れて体にさまざまな症状を引き起こしてしまうのです。これが、自律神経失調症です。
検査では「異常なし」といわれることが多い
「自律神経失調症」は正式な病名ではない |
そのため、医師に「検査の結果、異常ないですね。どこも悪くないですよ」などといわれ、「こんなにつらいのに、なんでどこも悪くないの?」と割り切れない気持ちを持つ人も多いのではないかと思います。
これは、自律神経失調症が正式な病気として認められておらず、明確な診断基準も確立されていないからなのです。そのため、医師の側にも「自律神経のバランスが乱れているせいかもしれない」と感じていても、あいまいな診断は下せないという事情があるのです。
したがって、「異常なし」の検査結果に納得がいかない場合には、「自律神経の乱れですか?」と医師に聞いてみるといいでしょう。そして、その医療機関で心の状態が体のトラブルとなる病態へのケアが十分に受けられないようなら、「心療内科」と看板を掲げた医療機関に相談してみるとよいでしょう。