頭痛の種類
いつもの頭痛薬が全く効かない? それまで感じたことがない頭痛は、命に関わる危険性も……
ありがちな症状でもあり、時に命に関わることもある病気でもある頭痛。ここでは痛みを感じたときに具体的にどうすべきかを考えるため、頭痛を大きく2つに分類して解説を進めます。
■これまでに経験したことのある頭痛
頭痛を経験した記憶がない人はいないはず。個人差がありますが、よくある頭痛は慢性頭痛、生活習慣と関係した頭痛、他に原因がある頭痛に分けることができます。
頭痛が頻繁に起こり治療を受けたいと考えている人は、症状が起きたタイミングで自分の頭痛の特徴を把握して、医療機関にいったときに正しく伝えられるように備えましょう。自分にとってよくあるレベルの痛みなら、症状自体は辛くても緊急性は低いことが多いので、心配しすぎる必要はありません。
■これまでに経験したことのない頭痛
各個人の経験として頭痛の強さや感じ方、痛みの続き方などがそれまでに体験した頭痛と一致しない場合、「これまでに経験したことのない頭痛」と考えます。慢性頭痛を始め、速やかに医療機関を受診すべき深刻な頭痛が含まれます。「頭が痛い」と思ったら、まずはこれまでにもあった痛みか、過去に経験したことのない痛みかを判断。過去に経験のない頭痛の場合は、診察を受けることが大切です。
頭痛の特徴を知るためのセルフチェックポイント
「頭痛」と言っても原因は様々。上記の2番目のように緊急性が高いものはCTなどの精密検査を行いますが、多くの頭痛は問診で診断します。特に診察時に痛みが落ち着いている場合、特徴を事前に把握して正確に伝えることがスムーズな診断の助けになります。医療機関に行く前に以下の項目をチェックして、頭痛の特長把握に役立てましょう。- 頭痛はいつから始まったか(長期の場合は頭痛が始まった年齢)
- 痛みは頭の片側か、両側か
- 痛みの持続時間はどれくらいか
- 痛みの間隔はどれくらいか
- 時間帯に規則性はあるか
- 目の疲れと頭痛の関係は感じるか
- 視覚異常など、頭痛の前兆はあるか
- ズキン、ズキンとした拍動性のある痛みか
- (女性の場合)生理周期との関係は感じるか
受診すべき頭痛、緊急性の高い頭痛
多くの頭痛は放置していても問題ないものがほとんどですが、なるべく早く受診すべき場合があります。■発熱、吐き気、意識障害を伴う頭痛
インフルエンザウイルスを含む気道の感染症の可能性があります。発熱の前に頭痛の症状だけが起きると慢性頭痛と区別が難しいですが、頭痛と発熱に加え、吐き気があり、さらに意識が落ちてきた場合は、特に小児ではインフルエンザ脳症などの重篤な場合を考えて、できるだけ早く受診するようにしましょう。
まれに髄膜炎菌による髄膜炎の場合があります。この場合、受診して治療しても死亡したり救命しても後遺症が残ることがあります。
■目の痛みを伴う頭痛
頭痛と同時に目の痛みを感じる場合は要注意。目の病気である「緑内障」の発作である場合があります。目の奥が痛い場合は慢性頭痛の中でもまれな「群発頭痛」の可能性もあります。群発頭痛は痛みが強く治療が難しい頭痛です。頭痛に加え、経験したことのない目の異常があった場合はまずは眼科を受診しましょう。目の中で光が見える症状「閃輝暗点(せんきあんてん)」のために、目の異常と感じて眼科を受診して、初めての片頭痛が眼科で診断されることもあります。
■吐き気を伴う激しい頭痛
脳腫瘍や脳卒中(脳動脈瘤)、頭部外傷後の血腫などは画像診断が必要な頭痛。これまで経験したことがない痛さで、熱もないのに吐き気を感じる場合は、できれば画像診断が可能な医療施設を速やかに受診しましょう。ただし、夜間救急の場合は画像診断装置の検査までは受けることができず、精密検査が翌日になってしまう場合もあります。いずれにしても、緊急性の高さを把握するために医師の診断を受けることが大切です。
頭痛の治療法
典型的な症状では拍動性の痛みを頭の片側に感じる場合、市販の頭痛薬はあまり有効でないことが多いようです。頻繁に頭痛を感じ、頭痛持ちだと自覚しているような場合は、片頭痛の可能性や緊張型頭痛と片頭痛の混合型頭痛の可能性はないか医療機関で診断を受けるようにしましょう。片頭痛の場合、医療機関では飲み薬、点鼻薬、注射薬、自己注射薬の剤型など、有効性の高い薬を処方してもらうことができます。女性でかつ混合型で性周期に関連して月経前や月経中には片頭痛を起こす場合、緊張型に対する薬剤と片頭痛に対する薬剤の両方を処方してもらうことで、頭痛を軽減できる可能性が高いです。
その他、緊急性が低く生活習慣の中で誰にも起こる頭痛は、対症薬として市販薬が有効な場合も。血管収縮作用を持つカフェインを含むコーヒー等の飲料で、頭痛が軽減する場合もあります。よくある頭痛(緊張型頭痛)は一定時間安静にすることで通常は自然と治りますが、寝不足だと頭痛になる、飲酒後に頭痛になるなどの決まったパターンが把握できている場合は、それらの頭痛原因を避けることで、頭痛が起きないようにするのが一番です。