食と健康/食と健康の基礎知識

メタボ対策にビンゴシート式食事管理シート

「栄養バランスのよい食事をとりましょう」と言っても、なかなか実践できないのが現実。今の自分の食生活を知ることで、行動の変化につなげていく。そんな食育ツール「ビンゴ式食事管理シート」をご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

2008年4月から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)の早期発見を目的とした特定健診・特定保健指導がスタートし、食事の栄養バランスを意識する人は増えています。けれども「何を、どれだけ食べれば、食事のバランスはよくなるのか」ということを、具体的に理解している人はどれだけいるでしょうか。

2008年9月静岡県立大学 短期大学部 講師 内藤初枝氏が、学生への食育の指導を行っていく中で考案したビンゴ式食事管理シートが販売されました。これは、自分で食事内容を分析し、必要なものを考える能力を身につけるツールです。今回は、内藤氏とともにビンゴ式食事管理シートを開発し、販売にたずさわる日陶科学株式会社(以後、日陶科学と表記)をお訪ねし、ビンゴ式食事管理シートについて伺ってきました。

ゲーム感覚で食事を管理

内藤氏
管理栄養士 内藤初枝氏
ビンゴ式食事シート発案者
静岡県立大学短期大学部・[一般教育等]
浜松医科大学糖尿病教育入院指導スタッフ
2005年農林水産省・厚生労働省より「食事バランスガイド」が発表され、またこの年には食育基本法も施行されました。当時、静岡県立大学 短期大学部 講師 内藤初枝氏は、糖尿病患者の食事指導を行う中で、糖尿病の食品交換表の扱いを患者自身が無理なく身につけて判断できるようになるためのツール作りに取り組んでいたそうです。

内藤氏は大学で、1日に必要なエネルギー量をおはじきの数に換算し、さらに食品群によって色を分け、「穀類は何色をいくつ、野菜は何色をいくつ、全部とれたらバランスよく食事できるね」、と指導してみました。すると、それまでイメージすら掴めなかった学生たちが、しだいに食事内容を判断できるようになったとか。視覚的にわかりやすいことと遊び感覚が受け入れられたのでは、と内藤氏は分析します。

使っていくうちに持ち運びや取扱いの不便さが見えてきました。ちょうどその頃、医療用具や学校の身体測定機器などの保健用具を企画・製造販売する日陶科学も食育に貢献できる商品開発をと思案中で、共同開発することとなりました。

「それらの問題点をクリアするために、どんな形にするのかを決めるまでが大変でした」というのは、開発に携わった藤森さん。

カード式にしたり、持ち運べるようにマグネット式にして手帖に貼付けていくスタイルも考えたのですが、これは重くて没になりました。ビンゴ式のシートになったは、開発に取り組んでから約半年後、クリスマスパーティのゲームとして、ビンゴを見た内藤氏が「これだ!」とひらめいたのだそうです。

そこで最初に作ったのは「メタボリック改善のためのダイエット食」用ビンゴ式食事シートでした。折しも厚生労働省から「食事バランスガイド」が発表され、今年4月から開始された特定保健指導の食事指導の方法として使われることに決まり、第二弾として「食事バランスガイド」用食事シートが誕生しました。

今の自分を知ることが行動変化への第一歩

日陶科学
日陶科学株式会社
購買部 部長 藤森 由永さん(右)
商品開発部 企画課課長 西尾 毅さん
食事バランスガイドでは食べた量をカロリーや重量ではなく、料理区分別に標準的な量「単位○つ(SV*)」で表します。 例えば「ご飯1杯」は「主食1つ(SV)分」と表します。このSVという単位を頭にまずいれることが、なかなか難しく、食事管理の大きな障害になっている面があると思います。

またこれまでも自分が食べた食事を入力さえすれば、「脂肪が多すぎる」、「野菜が不足」などというように、栄養バランスを判断してくれるwebツールやソフトはいくつもあります。ではビンゴ式食事管理シートは、それらのツールとは何が違うのでしょうか。

ビンゴ式食事管理シートでは、自分が食べた食事の分だけビンゴシートに穴をあけていくと、今日はあと「何を」「どれくらい」食べれば良いのか一目でわかります。「お昼はお肉を食べ過ぎたから、夜は控えめにしよう」「野菜が不足しているから、おひたしを食べよう」と、食べてから気づくのではなく食べる前に加減できる、自分で考える能力を身に付けさせることにつなげていくのです。

「ビンゴシートに穴をあけていくのは、あくまで動機づけです」というのは西尾さん。

ビンゴ式食事管理シート
ビンゴ式食事シートし、自分の今の食生活を客観的に知り、自分で何がたりなのいかを判断できるように能力をつけていくためのツールです。
確かにビンゴシートに穴をあけるのはいたって単純な作業ですが、あえて自分の手で料理区分ごとに穴をあけて、現状を確認することに意味があるのです。そこに内藤氏の「私が主役」のコンセプトが集約されています。

「みんな理屈ではわかっている。そして理想的なバランスで食べているつもりになっているんですね」と藤森さん。

食事バランスガイドでは、「食塩」や「嗜好品」などの区分はありませんが、このビンゴ式食事管理シートでは、盛り込んでいます。学生などが分析してみると、食事よりも嗜好品が多かったケースなどもあり、「具体的に今の自分の歪んだ食事状況を知ることができた」と好評でした。まず「知る」ことが行動の変化につながっていくのです。

*SVとはサービング(食事の提供量の単位)の略です。

「ビンゴ式食事管理シート」の使い方

ビンゴ式食事シート
ビンゴ式食事シート -私が主役-
「食事バランスガイド」用シート
厚生労働省・農林水産省の「食事バランスガイド」の数値に沿って各人に合った一日の摂取量をチェックする事ができます。同時にお菓子や食塩の摂取量も記録できます。他にも、「6つの基礎食品群」用シート・「メタボリック改善のためのダイエット食」用シートがあります。
実用新案登録第3131523号
それぞれ大きさ/21×14.8cm A5版 50枚
付属品/解説書 各2,000円(税込 2,100円)
食事バランスガイドでは「何を」「どれだけ」食べたらよいかという「食事」の基本を身に付けるために、望ましい食事のとり方やおおよその量をわかりやすくコマのイラストで示しています。そして料理区分を「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」に分けて表します。

「ビンゴ式食事管理シート」の使い方を簡単に説明すると、

1.年齢や性別、身体活動レベルによって1日に食べる目標値をだし、シートに線を引いて目安にする。

2.食べた食品を SVに換算する。
付属の補助ツール(食べ物の各SVをまとめたもの)を参考に[SV:○つ]に換算します。

3.シートに、SVの数だけ穴をあける。
例えばごはんは、標準が1つですが、少なければ0.5、多めなら1.5と、量をしっかり把握できるシステムが用意されています。穴をあけながら、1日の摂取状況をチェックします。

4.結果を記入する。
実際食べた数値から設定した目標の数値をひき算します。

5.分析する。
何をどれだけ食べたか、足りないもの、とり過ぎたものをチェック。
改善すべき点を自分で考え実践につなげます。
ビンゴ式食事管理シート
目標値を設定し、食べ物のSV分の穴をあけて、食事内容を分析します。


ここでは、面倒なカロリー計算や栄養成分表示の確認は不要です。これはあくまで目安ですが、続けていくことで、おおよその分量の目安が頭に入り、何が足りない、何が多いのかを自分で判断でき、具体的改善にまでつなげられるようになっていきます。

ビンゴ式食事管理シートと食事検索ツール*も含めた詳しい使い方は、こちらをご覧ください。

*専用webサイトの食事検索ツールを使うと、食べた食事に含まれる換算値を調べることもできます。 メニューは家庭料理を中心に、市販のお菓子・アルコール飲料という嗜好品も含めた約600種類のメニューを登録しています(購入は学校・施設単位のライセンス契約となります。詳しくは、日陶科学のサイトへ)

現在は、このシステムがすべて携帯電話で利用できるようになり、誰もがどこでも主体的に食事管理できる画期的なシステムと好評を得ています。詳しくは、明電ソフトウエアへお問合せください。
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