人員不足はコムスンだけの問題ではない
連日の報道では伝えられていないコムスン問題の原因とは? |
介護職の実態とは?
介護現場で働くということは、とても大変なことです。私のプロフィールにもあるとおり、私は今も訪問入浴のスタッフとしても働いておりますので、少し介護現場の実態を解説しようと思います。朝8時から19時まで勤務し、9時~18時の間に6~7件の入浴サービスを提供します。在宅で生活されている方は、生活スタイルや考え方、身体・精神状況やご家族の状況などさまざまで、一人ひとりに合わせてサービスを提供しております。通常、1件あたり1時間程度でサービスが終了するのですが、さまざまな状況の変化により、時には2~3時間かかることがあります。入浴中に急変して救急搬送を依頼することもあります。まさに、命を預かる仕事となります。
低賃金重労働の末に
このようなハードな業務を長く継続することが難しく、腰痛などの身体的不調や、ストレスによる精神的不調により、数年で現場を退く方がほとんどです。このような仕事は、給与水準が高いというイメージを持っていらっしゃる方も少なくないようですが、個人差もありますが相場の月給は手取りで19~21万円程度で、賞与は年二回で一か月分も出ない方もいらっしゃいます。介護業界の中でこの水準はまだ高い方で、月給が17万円前後であることも少なくありません。また、少人数で現場を切り盛りしているため、長期の休暇をとってリフレッシュするということもかなり難しいです。よほど、介護の仕事が好きで体が頑丈でないと、介護スタッフを継続することができません。私が大学を卒業する際に驚かされたことがありました。社会福祉学科を卒業する同期の半分以上が福祉の業界に残りません。私が把握している範囲ですが、その理由は「実習先で福祉の仕事に幻滅した」「一般企業の方が給与水準が高く、安定した生活を送ることができる」などの理由が大半を占めていました。