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増え続けるうつ病…薬の基礎知識と注意点(3ページ目)

子供から大人まで、幅広い年代で増加しているうつ病。今回は意外としらないうつの症状に加え、うつの治療に使われる薬の基礎知識と、副作用の注意についてご紹介します。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

うつ病の薬について

ここでは、うつ病で使われる薬物をご紹介します。うつ病治療薬(抗うつ薬)の特徴として、神経の働きを活発にする物質であるアドレナリンやセロトニンの量を増やしたり、減らさないようにして効果を発揮します。

現在、日本におけるうつ病の治療薬には以下のようなものがあります(商品名でご紹介します。ジェネリックも含まれます)。

<三環系抗うつ薬>
 アモキサン、アミプリン、トリプタノール、ノーマルン、イミドール、トフラニール、アナフラニール、プロチアデン、ノリトレン、アンプリット、スルモンチール など

<四環系抗うつ薬>
 クロンモリン、ノイオミール、マプロミール、ルジオミール、テトラミド、テシプール、ビソプール など
三環系、四環系という名前は成分の構造式の特徴からきています。
これらは、アドレナリン(※)やセロトニン(※)の量を増やすことで、精神活動を活発にしたり感情を調節します。(※:脳神経を直接刺激して神経の働きを活発にする物質)

<選択性セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)>
 パキシル、デプロメール、ルボックス
これらは、脳内のセロトニンが減らないようにします。

<選択性セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)>
 トレドミン
これらは、脳内のセロトニンとノルアドレナリンが減らないようにします。
  
<精神刺激剤>
 リタリン(うつ病の適応はなくなりました)、ベタナミン
これらは、大脳や脳幹の中枢神経を興奮させて、精神活動を活発にします。また、神経を覚醒します。ナルコレプシーという睡眠障害に用いられます。
 

補足
日本では、精神疾患の薬の承認が遅れています。海外で幅広く使っている薬が日本では使えないという状況も他の薬同様にみられます。
また、最近は、うつ病患者はビタミンB群(特にB6)が不足している場合が多いとの事で、併用する場合があります(欧米では良く使われているようです)。

薬の副作用と注意

抗うつ薬には、抗コリン症状がみられることがあります。そのため、のどの渇き、ふらつき、眠気、循環器症状(血圧の低下、上昇、頻脈、徐脈など)、消化管症状(吐き気、便秘、下痢など)などの症状が出ることがあります。
副作用の症状がひどい場合、また服用しておかしいなと感じましたらすぐに医師や薬剤師にご相談ください。

なお、もともと病気がある場合は、その病気が悪化することがありますので、治療の際には医師に他の病気、飲んでいる薬などをお伝えください。

最近、リタリンの事件もありました。不明な点は、医師や薬剤師に良く聞いて、薬のことを良く知って正しく服用するようにしてくださいね。


うつ病は、周りが気づいてあげることも大切です。イライラしている、集中力が無くなった、否定的なことを言い出すようになった、不安がる、元気が無くなった、など、変だなと思ったら、注意信号です。
カウンセリングや医療機関などへの受診をすすめるのもいいですが、人によっては自分がうつ状態だと認めたくない方もいらっしゃり、すすめた側がつらくなることもあります。

状況によってとても難しい問題ですが、その人をさらに追い込んだり、否定したり、無視したりせず、きちんとケアをしてあげるようにしたいものですね。


*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局での会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。


【参考資料】
・メルクマニュアル
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