なお、「テオフィリン」といっても実際に手にするのは商品名です。その商品名は、内服薬では「テオドール」「テオロング」「スロービッド」「ユニフィル」など。注射薬では「ネオフィリン」「テオドリップ」などが挙げられます。
テオフィリンが喘息に使用される理由
錠剤や粉薬で処方されます。朝と夕または寝る前の2回飲むことが多い |
上記の作用がありますが、テオフィリンの血中濃度(血液中の薬剤の量)によっては、その作用が異なります。
- 気管支拡張作用 10μg/ml以上
- 抗炎症作用 10μg/ml以下
一般に、5-15μg/mlが望ましい値(有効血中濃度)です。
テオフィリンの副作用
発熱時は注意が必要です |
多い副作用としては、悪心・嘔吐などの胃腸症状や、興奮・食欲不振・下痢・不眠などが挙げられます。また血中濃度が高いと、頻脈や不整脈などの心臓への影響、そして、現在問題になっている「痙攣」を引き起こします。これを「テオフィリン関連痙攣」と呼びます。痙攣を起こすと、重篤な後遺症を残したり、場合によっては死に至ります。このテオフィリン関連痙攣は、乳幼児(5歳以下)に多く報告されています。それは、
- 熱性痙攣を含めて、乳幼児は痙攣を起こしやすい
- 乳幼児は、テオフィリンの代謝の程度に個人差があり、血中濃度が高くなる可能性が高い
- 発熱などがあると、テオフィリンの代謝が悪くなるので、この時期は発熱しやすい
- 抗生剤などの薬物によっては、テオフィリンの代謝が悪くなることがある
テオフィリンを使用するケースは?
2005年の「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」でテオフィリンは、乳幼児(5歳以下)では他の薬で効かない場合に使用することになりました。つまり、テオフィリンは喘息に効果はありますが、乳児(2歳未満)では小児アレルギー専門医の下で使用することが望ましく、幼児(2~5歳)でも抗アレルギー薬や吸入ステロイド薬の追加の薬として使用されることになります。
テオフィリンに替わっていく薬剤として、ロイコトリエン受容体拮抗薬(オノン・キプレス・シングレア)や吸入ステロイド薬(フルタイド・キュバール)といった薬が世に出ています。使用するかどうかは、医師と相談して決めていくようにしましょう。
以上、わからない点や不明の点は、かかりつけの医師に必ず相談するようにしてください。
血中濃度:血液中の薬物の濃度。薬物が効果を示すには、ある程度の濃度が必要で、濃度が高くなると、副作用が多くなり、濃度が低いと効果がない。副作用もなく、効果が期待できる濃度を有効血中濃度と言っている。
<参考リンク先>
喘息の基礎知識vol.1 喘息の原因って何?
喘息の基礎知識vol.2 喘息を治すには、どうする?
テオフィリン痙攣の特徴と予防