細菌感染の結果、体の免疫系は体を守るために壮絶な戦いを繰り広げます。その戦っている様が炎症(赤くなる、熱を持つ、痛みがある)を引き起こしているのです。
よくある風邪は、病態を引き起こす原因細菌が上気道(のど)で異常増殖してしまった結果炎症を引き起こし上気道炎とよばれます。また、細菌がぼうこうの中で繁殖してしまい、腫れたり痛みを感じるようになったものがぼうこう炎です。
このように感染症というのは、からだの特定部位に、病原性のバイ菌が異常に繁殖してしまった状態の事なのです。
こうした感染症を治すには、病原性細菌の増殖をストップさせればよい事になります。抗生物質が細胞増殖を妨げることでその勢いに待ったをかけるのですが、これに相性があって、魔法とモンスターの関係のように例えられるのです。薬に関して言えば抗生物質と細菌種の相性の分布が抗菌スペクトル、どれぐらいの攻撃力があるかという事が抗菌力ということになるのです。
もともと最初に発見された抗生物質はペニシリンでしたが、これは一部の種類の細菌にしか効かないものでした。その後の進歩によって苦手な菌に対する効果も獲得していくようになったのです。しかし、その時点でこれまで有効だった菌種には効かなくなったりする事もあるのです。
抗生物質は分類だけで多くの種類があり、ややこしくなってしまいます。ここでは実際の臨床の現場でよく使われるもので皆さんも一度くらいは使った事があるものに限って説明していきます。それでは、次のページで代表的な魔法の抗生物質を解説してまいりましょう。