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薬の働き(Chapter2.2) 魔法の呪文?抗生物質

突然ですが、皆様はロールプレイングゲームというジャンルのゲームをした事がありますでしょうか?ゲームの魔法とモンスターの関係って抗生物質と細菌の関係に良く似ているのです。

執筆者:赤堀 一仁


突然ですが、皆様はロールプレイングゲームというジャンルのコンピューターゲームをした事がありますでしょうか?

ゲームの中の主人公に自分を見立てて旅をしながら様々なモンスターと戦っていき、目的を達成するものです。こうしたゲームの世界ではいろいろな魔法があります。魔法は傷を癒したり鍵を開けたり、様々な働きがありますがモンスターを攻撃するものもいくつかあります。魔法には伝統的に炎系、氷系、雷系、精神系といった魔法があります。そのモンスターの特性によって魔法との相性があるのです。例えば氷でできた氷狼なんてモンスターがいたとします。このモンスターは氷で出来ているので炎の魔法には非常に弱く、氷の魔法には強い特徴があります。それからもう一つ、魔法を使うとエネルギーを消費して体はダメージを受けますね。強力で全部の相手に有効な魔法ほどそのダメージは大きいことが多いですね。

抗生物質をはじめとする化学療法剤と病原性の細菌は、ゲームの魔法攻撃とモンスターの関係に似ています。そう考えると最もいい魔法(薬)は攻撃力が強くて(抗菌力が強く)どんな種類のモンスターにもよく効いて(抗菌スペクトルが広く)、消費エネルギーは少ない(ヒトの体へのダメージは少なく)のが理想ですね。

そんな夢のような魔法を探して冒険をするのですが、あなたも良くご存知の通り、獲得するためには桁外れの経験値が必要で、多くの時間と労力を要するのが常です。

それよりも、適切にモンスターの特徴を掴む事が大切で、効率のよい魔法を使えば無駄なエネルギーも使わずやっつけることが出来るのです。夢の魔法を求めるよりもモンスターに遭遇しないように注意する、もし遭遇したら増殖を繰り返すモンスターに対して、すばやくその特性を見極め、なるべく早く攻撃を開始する事が有効なのは皆さんも良くご存知ですね。

最近ではバイオテロや狂牛病関連で、体に入り込んだ病原性のものが病気を引き起こす話題を耳にする事が多くなりました。狂牛病の病原性物質プリオンはタンパク質の一種なので今回は該当しませんが、「悪い細胞って何?」でもお話しした通り、バイ菌(細菌)とそれに対する薬の説明をしてまいりましょう。
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