アレルギー鼻炎用と鼻かぜ用の違い
今回は、例として都内の電車広告でよく見かけるので、コンタック600という製品で説明してみます。この薬は、グラクソスミスクライン社からコンタック600シリーズとして販売しているもので、鼻炎のどちらかといえば鼻かぜに「コンタック600ST」を、アレルギー性鼻炎には「コンタック600PLUS」と、マーケティング上紹介されているように思います。
この二つを比較してみたいと思います。
まず、コンタック600STは、以下のような成分が入っています。
・ヨウ化イソプロパミド (抗分泌剤:副交感神経抑制)
鼻水、涙の過剰な分泌を抑えるはたらきがあります
・マレイン酸クロルフェニラミン (抗ヒスタミン剤)
鼻水・くしゃみ・涙目などのアレルギー症状を抑えます
・ブロメライン (消炎酵素剤:炎症系の酵素のはらたきを抑制)
鼻粘膜やのどの炎症を抑え、鼻づまり、のどの痛みを改善します
上記の成分で特に抗ヒスタミン剤を飲むと眠くなることがあります。そのため、風邪など安静にできる状況のときや、鼻水やくしゃみなどの症状のときに選ぶと良いでしょう。
また、コンタック600PLUSは、以下のような成分が入っています。
・塩酸プソイドエフェドリン (交感神経興奮剤:末梢血管収縮作用)
鼻粘膜の血管を収縮させて充血や腫れを抑え、鼻水、鼻づまりを抑えます
・マレイン酸クロルフェニラミン (抗ヒスタミン剤)
鼻水・くしゃみ・涙目などのアレルギー症状を抑えます
・ベラドンナ総アルカロイド (副交感神経抑制)
鼻水、涙の過剰な分泌を抑えます
・無水カフェイン
鼻炎症状に伴う、頭の重い感じを抑えたり、眠気をおさえます
※無水カフェインは、カフェインより中枢に入りやすく、一緒に配合された成分の効果を高める働きもあります
・塩化リゾチーム (抗炎症剤)
鼻粘膜の炎症を抑え、鼻づまりを緩和します
上記のように、副交感神経を抑制して交感神経を高めるような働きをする成分が多く入っています。それは、副交感神経が高まる(リラックスした状態)と、血管が拡張することにより、血管を構成する細胞が緩み、血管から外(の細胞など)へ移行する分泌物の量が増えます。そのため、血管を収縮させる(交感神経を高める)ようにする成分を摂取することで鼻水や涙などの分泌物を押さえる作用があります。
こちらの薬は、鼻水はもちろんですが鼻が詰まった症状のときに選ぶと良いでしょう。
特に、こちらは、カフェインなども入っていますので、ゆっくり体を休める風邪とは異なり、アレルギー性鼻炎の時に使うと良いと思います。
仕事や家事・育児中には、あまりボーっとしていられないですものね・・・。
その他注意と豆知識
また、この薬は1日2回ですが、1日3回などと、アレルギーの薬は夜にも飲む設計になっています。そのため、時々「なぜ、家にいたり、寝るときに飲む必要があるのですか?」と患者さんから聞かれることがあります。その理由は、家にいるときにはリラックスして副交感神経が高まったり、朝起きてからの活動がはじまるボーっとしている間にアレルギー症状がひどくなります。夜(夕食後)に飲むことによって、朝、薬を服用する前のアレルギー症状を抑える目的があります。
また、血液中に流れる薬の量(血中濃度)を一定に保つことで、体の負担を抑える意味もあります。
きちんと、薬の箱に記載された使用上の注意を守るようにして服用してくださいね。
このように、同じ鼻炎の薬でも症状や使う状況によって選ぶことが大切です。
まず、薬局の薬剤師に、あなたの鼻炎がどのような症状なのか、きちんと伝えてくださいね。
ただ、あまりひどいようでしたり、市販の薬を使っても良くならないまたは悪化した場合はすぐに医療機関を受診するようにしてください。
*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局などでの会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。
【参考リンク先】
Mr.CONTACPRODUCTS>グラクソスミスクライン社
ハイガードス>エーザイ社