食品に混ぜる基本事項
食品の事例は後ほどで紹介しますが、まず、基本的な注意点をご紹介します。大人用の、といいますか、普通の薬でもそうですが、薬の成分によっては非常に苦かったり、匂いがきついものがあります。そのため、糖でコーティングしたり(糖衣錠)、カプセルにくるんだりといった工夫がされています。
子供用の薬も同様です。
また、粉薬には、さらさらしたパウダー状のものがあります(散剤)。しかし、子供用の薬は、粒が1~1.5ミリぐらいの粒状になっている粉薬が中心です(細粒)。これは、苦い成分を糖や酸性で溶けるような物質などでコーティングしているために、粒が大きくなっているのです。金平糖(こんぺいとう)のような感じでしょうか・・・。核(成分)があって回りは、糖分といった感じです。
そのため、できるだけ口の中で成分が溶け出さないように、味を感じる前にすぐに飲みこむと、苦くなく飲めると思います。
・水分が多すぎない
水分が多すぎると、薬の成分が溶け出してしまいます。
・酸味が高いものには混ぜない
胃の酸性で成分が溶け出すようにしている薬もありますので、酸味を感じる食品に混ぜると成分が溶け出して、大人でも飲めないぐらい苦くなってしまいます。
・飲む直前に混ぜる
時間がたつと成分が溶け出して、苦くなってきます。
・まず確かめてみる
大人が飲めない苦味は、子供は飲めません(ーー;)
食品に混ぜたときに、どんな味がするか、ほんの少量でいいのでご自身で試してみることも、重要だと思います。
乳製品に混ぜる
乳製品は、全体的に味を包み込んでまろやかにするような感じですので、お勧めです。牛乳やコーヒー牛乳、ミルクココア、イチゴなどに使うコンデスミルク(練乳)、アイス(バニラ、チョコなど)などが、薬の苦味が出にくいでしょう。
どの製品でもそうですが、飲む直前に混ぜて、すぐに飲んでください。
※プリンも大丈夫ですが、あまり美味しくないようです。
また、アイスでもシェイクは、薬のざらざらした成分が残って、苦味を感じてしまうようで、こちらもお勧めできません。
なお、同じ乳製品でも、ヨーグルトや乳酸飲料、乳清飲料など、酸味のあるものは、薬が溶けて、大人でも飲めないぐらいの苦味を発しますので、やめましょう。
お菓子に混ぜる
クリームサンドクッキーに入れる・・・クリームがサンドしてあるクッキーをはがして、クリームの上に薬をのせます。その後、またクッキーを元のようにのせる。シュークリーム、エクレアなど、クリームの中にまぜるなど。
なんだか、子供をだましているようで、心が痛みますが、病気が治るためと思って、選択肢の一つに入れていただければと思います。
甘いソースにまぜる
チョコレートソースや、ピーナッツクリーム、メイプルシロップやケーキシロップなどに混ぜて、舐めるように飲むのも、甘くて、苦味が出ません。ジャムは、かんきつ類を避け、酸味の低いものを選んでください。でも、最近は、酸味の高いものの方が多いので、低いものを選ぶのは大変かもしれませんね。
はちみつも選択肢の中に入れたいのですが、小さいお子さんによっては、アレルギーが出ることもあるようです。はちみつや乳製品など、食品のアレルギーは、お子さんの体質を見ながらきちんと注意の上、薬を混ぜるようにしてください。
その他
のりの佃煮など、味の濃い食品と混ぜて、すぐに食べさせるなどがあります。また、子供用の薬にも後発品(ジェネリック)はでておりますが、先発品(ブランド薬)と味が違うので、後発品に変えてもらうという選択もあります。
ただ、薬局によっては、置いてないこともあったり、事前に薬の味見(試食?)をすることは、難しいですものね(汗)。
※実際、頼まれたこともなかったですし、今回、記事を書くまで、味見のことは考えたことがありませんでした。
子供が嫌がる、飲みにくいなど、かかりつけの薬剤師に相談してみてください。お子さんがいらっしゃるお母様同士でも話し合ってみるのもいいかもしれませんね。
<*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局での会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。
【参考図書】日経DI No.109
赤ちゃんの薬どうやって飲ませればいい
粉薬の上手な飲み方