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大学病院で鍼治療!? 補完医療の最前線(2ページ目)

日本古来の伝統医療の一つである鍼。その鍼治療が、西洋医学の最先端治療を行う大学病院で併用されていることをご存じですか? 日本の補完医療の最前線をご紹介します。

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド

鍼治療の臨床試験とは

生体機能補完医学講座
平成17年1月に大阪大学医学部に寄付講座として開設された講座がこの臨床試験を行っています
この臨床試験を行っているのが、大阪大学大学院医学系研究科「生体機能補完医学講座」の伊藤壽記教授です。

抗がん剤の副作用としての四肢末梢のしびれが出ている患者さんのうち、臨床試験の参加に同意をされた方を対象に、明治鍼灸大学との連携のもと、鍼灸師の先生が治療を行います。

現在もこの臨床試験は継続中ですが、自覚症状が改善する症例も報告されており今後の展開が期待されています。

西洋医学と鍼治療を組み合わせるメリット

西洋医学と組み合わせる鍼治療
西洋医学と鍼。双方の良いところを組み合わせていくのが補完医療的な概念の基本になります。
鍼という、古くからある治療法を、抗がん剤という西洋医学の治療と組み合わせるというのが、補完医療の基本的な考え方を表しています。

今までは、鍼なら鍼だけ、抗がん剤なら抗がん剤だけと完全にわかれていました。しかし、西洋医学による治療が非常に進歩した今、たとえば鍼だけで全ての治療をまかなおうというのは、やはり、無理があります。

また、西洋医学一辺倒の治療では、たとえば今回のしびれのように、なかなか対応しきれない部分があることも、わかってきました。

そこで、出てきたのが、補完医療という概念です。

補完とは、補い完成させると読むことができます。すなわち、現代の標準治療である西洋医学による治療で足りない部分を、伝統医学である鍼による治療で補うことで、患者さんに対する治療の質を高めていく。それが、補完医療という考え方です。最近では、西洋医学による治療と補完医療とを合わせた「統合医療」という概念も確立されてきました。

先進的治療と伝統医学の組み合わせは、これからの私達の医療のあり方を大きく変えていくだろうと思います。

【関連リンク】
補完医療外来の情報も載っています⇒大阪大学大学院医学系研究科生体機能補完医学講座

サプリメントも補完医療の一分野と言えます⇒健康食品ってがんに効くのでしょうか?(All About がん・がん予防

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