インフルエンザの予防接種は
シーズン本格化の前がおすすめ

毎年、その流行がニュースになっているインフルエンザですが、今シーズンもすでに予防接種の時期になってきました。「ちょっと早いのでは?」という声も聞こえてきそうですが、体が免疫を作る事から考えると今から用意しておいた方がよさそうです。以前にもインフルエンザの薬の解説はしてきましたが、その後の話題を加えながら、今から準備が必要な予防接種から進めていこうと思います。

もうはじまっている予防接種

インフルエンザワクチン
そろそろはじまっています。まずは医療機関に相談しましょう。
実際、小児科や内科では9月頃から予約を取り始め、10月頃から接種をはじめる所が多いようです。改めてお伝えしておくと、予防接種というのは予め免疫を作っておいてシーズン中の感染から守ったり、感染したとしても重症化させなかったりするものです。体が免疫システムを完成させるのは、およそ2週間前後かかるといわれています。もちろん健康な状態の時に接種する事が基本で、栄養不足、寝不足、疲労がたまっているなどの時には免疫を作る妨げとなってしまいます。また、若い世代と比べてご年配の方では免疫ができる時間が多くかかる可能性が高いといえます。ある程度の余裕を持って考えておいた方がよいでしょう。

逆に考えてみると、インフルエンザ感染のニュースがきこえはじめる12月に入ってからは年末の準備など、いつも以上に忙しいのは目に見えています。そんな時にあわててワクチンを打っても抗体が十分できない事も予想されます。今のうちに準備しておく方が賢い選択と言えそうです。まずはお近くのかかりつけの医師に相談なさってください。

さて、そんなインフルエンザの今年はどうなのでしょう?流行レベルは簡単には予想できないので詳しい事は厚生労働省や国立感染症研究所の公式発表を待つとして、これまでのトピックから考えてみましょう。

昨シーズンを振り返ってみると

まずこの春までの昨シーズンを振り返ってみると、2004年の初めから、どちらかというと鶏飼育業者の鳥インフルエンザ事件のニュースがめだちました。シーズンが終わってもタイなどで鳥インフルエンザのヒトでの感染が報告されたり、ここ最近の2週間でもタイでの鳥インフルエンザで死亡したヒトの症例報告がされていたり、その感染がヒトからヒトへの感染だったり、鳥だけの感染をヒトへ仲介する可能性が心配されているブタなどの動物での鳥インフルエンザの感染が報告されたりしていて依然余談は許しません。

本来、乾燥していて温度もそれほど高くない状態で活発になるインフルエンザウィルスが、タイで夏のシーズンに感染が報告されている事など、ニュースに注意をしてもう少し詳しく調べないといけません。

鳥インフルエンザに対して従来のワクチンが有効かどうか、も今の所は未知数なのですが、万全の対策と流行期の注意、早期発見と早期治療で重症化させないようにする事に注意を払っていたほうがよさそうです。まずは、今の時期にできる予防接種からはじめましょう。

1才未満のお子さんの場合には注意!!

お子さんの発熱!
こうならないためにも周りの注意も大切!
そんなワクチン接種による準備も、免疫形成が未発達な生後まもなくの乳児では効果が期待できません。更に昨年、アメリカの食品医薬品局の報告に呼応して、日本でも乳幼児にオセルタミビルの使用に注意が必要になりました。どちらも1才未満のお子さんにあてはまる事なので、昨年12月から今年の4月に生まれたお子さんの場合にはワクチンによる準備も、かかってしまった時の治療もできない事になります。

あなたの周りにそんなお子さんがいらっしゃる時には、自分がインフルエンザウィルスを運んでしまわないように、ワクチンによる予防や感染症対策を心がけた生活を送って、いつも以上にインフルエンザに対する注意を払ってあげてください。

ご年配の方も薬の予防的使用が
保険で認められるようになったのですが

これまでの統計をみてみると、インフルエンザによる死亡例は、高齢の方によるものがほとんどです。そのため高齢者には、ワクチン接種の公的補助制度が各市町村で行われていますが、それに加えて、抗インフルエンザ薬の予防的使用が保険で認められました。通常の保険診療のルールでは、今かかっている疾患に対して医師の診断によって薬が決められ、処方されるのが原則なのですが、病気の発症がなくても危険性が考えられる場合には薬の処方が保険で認められました。

間違えてはいけない事は、予め処方しておいてもらい、発症後に病院に行かなくても薬を使える、という事ではなく、家族が発症したなど、インフルエンザの感染者に接触した後に病気の症状がなくても処方する事が保険で認められた、という事です。そしてそれは65歳以上であるか、または13歳以上のハイリスクな条件を持った患者さんに限ってのことです。ちなみに保険適用以外であれば医師の指示によって処方は可能です。

ワクチンのこれから

ワクチンの中には生ワクチンというのがあります。乳幼児などではポリオなどが有名ですが、インフルエンザワクチンも生ワクチンになりそうな動きがあります。1960年台からアメリカで研究開発中だったインフルエンザの生ワクチンは2003年に認可を受け、5才から49才の健康で免疫力に問題がない人に利用されてきています。

これまでの不活化ワクチンのように注射ではなく、鼻腔内にスプレーして免疫を作るようになっているので、簡単にワクチン接種ができ、その効果は全身の免疫に加えて粘膜部位の免疫力がアップするようです。まだ日本では承認されているものではありませんが、あと数年したら日本でも鼻にスプレーするタイプのワクチンが一般化するかもしれませんね。

注意する事はなに?

今年の流行予想は簡単にはできず未知数です。それでもあえてポイントとなるニュースをピックアップしてみると、
・鳥インフルエンザのヒトへの感染が可能となる変異が起こるのか
・それはヒトからヒトへ広がるのか、その広がり方はどの程度なのか
・その病原性はどの程度なのか
・これまでのワクチンや薬の効果はどの程度効果があるのか
このあたりが今シーズン、業界が注目しているポイントのようです。

そして今の所影を潜めているもうひとつの感染症「SARS」も油断は禁物です。まずはインフルエンザワクチンなどで万全の対策をとっておく事、感染に対する予防法をしっかりおさらいしておく事、シーズン中は特に流行状況をチェックしたり、流行っていないからといって油断する事のないように注意しましょう。インフルエンザ対策はもうはじまっているのです。


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Global Atlas Of Infectious Diseasesfrom WHO
厚生労働省
国立感染症研究所
*予防接種法に関するページ*from 厚生労働省
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