感染症/感染症のしくみ・感染経路・予防法・治療法

医者泣かせの難病?! 夏風邪対策(2ページ目)

夏風邪の対策をご紹介。冬は平気なのに夏になると発熱やのどの痛みが出て風邪を引いてしまうのは、生活習慣が原因かもしれません。かかりにくくなる方法を知り、元気に過ごしましょう!

執筆者:吉國 友和

クールビズはなぜ28℃? 医学的根拠を探る

エアコン
職場や寝室のエアコンの温度は何℃に設定していますか?
クール(涼しい)とビジネス(仕事)を併せたクールビズという言葉が流行していますが、エアコンによる冷えすぎは省エネ問題だけでなく、体の健康にとっても良いものではありません。涼しいと感じる温度には地域(環境)・個人差がありますが、仕事の能率が向上する最適な温度は約28℃とされています。本当に28℃が最適なのでしょうか?

汗をかくという機能は脳の温度、皮膚の温度によって神経で制御されています。このうち皮膚温は33℃以下であれば汗をかきにくくなるのですが、この時の環境温度が約28℃です(Du Bois先生発表,1939年 Bull NY Acad Medより)。つまり、環境温28℃以下であれば発汗作用が減少し、快適に感じるということになります。ところが、この温度だとまだ暑い、と感じることもあるのではないでしょうか。そんなときは湿度も確認してください。

日本の夏は湿度が高いということもあって、温度だけ調節しても実際には暑いと感じることが多いようです。また、暑い日でも木陰で爽やかな風が吹いたとき、すぅーっと涼しくなりますよね。温度、湿度、そして肌に当たる空気の流れ(風)、この3つが涼しく感じる要素です(風通しの良い縁側で風鈴の音を聞きながら、氷を入れた麦茶を一口すする時のことを想像してみてください)。

職場ではエアコンのために部屋を閉め切っています、という方、次の方法はいかがでしょうか?


涼しくするには脳温を調節

さて、汗をかくのに皮膚温と脳温が関係していることをご説明しましたが、それでは脳温を調節する方法をご紹介します。ただし、実際の脳の温度は34~35℃前後にほぼ一定に保たれており、本当に脳の温度が変化するわけではありません。あくまでも涼しく感じる、という方法であることを確認してください。具体的な方法には、次のようなものがあります。
  • 保冷剤をタオルに包み、首の両側にあてる
  • 靴・靴下を脱いで裸足になる
  • 氷片を口に含む
ただし、首の横や後頭部には肩こりの原因となる筋肉がありますので、あまりに冷たくしてしまうと血管が収縮して、肩こりを悪化させてしまう可能性もありますので、この点は注意してください。熱帯夜には、同じようにタオルに包んだ保冷剤をわきの下や足のつけ根などの太い血管にあてがうと、多少なりとも血液を冷やすことで涼しくなります。目安とすれば、ほんのりと冷たく感じる温度、急に冷やすよりも時間をかけたほうがより効果的です。最近では蚊帳(かや)の効果も見直されているとのこと、ご自宅に蚊帳をお持ちですか?


次のページでは風邪の定義、医者が風邪をひいたときに自ら行う「治療」についてご紹介します。
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