感染症/感染症のしくみ・感染経路・予防法・治療法

医者泣かせの難病?! 夏風邪対策

夏風邪の対策をご紹介。冬は平気なのに夏になると発熱やのどの痛みが出て風邪を引いてしまうのは、生活習慣が原因かもしれません。かかりにくくなる方法を知り、元気に過ごしましょう!

執筆者:吉國 友和

問診をする上で注意すべき3つのポイントがあります。1つはアレルギーの有無、薬や食べものでアレルギーが出たことはないか、これまではなかったとしても、この次にも安全ということはないからです。2つ目は既往(これまでに病気をしたことがないか)、「盲腸(虫垂炎・切除術)」ぐらいは言わなくてもいいだろうとお考えの方、いらっしゃるのでは? そして3つ目……「風邪をひきました」。風邪という言葉はごく一般的なものですが、この言葉をつきつめていくと……? 50代からの健康法、今回は「夏風邪」の特集記事です。


風邪と夏風邪は違う?

鼻水
咳や鼻水、のどの痛みなど、上気道の症状が出現するのが本来の「風邪」です
実は医学的には「夏風邪」という言葉は本来存在せず、冬にかかる一般的な「風邪」に対して、夏にかかる風邪を慣習的に「夏風邪」と呼んでいます。いずれにしても、風邪はウイルスがのどや鼻の粘膜などから侵入することで罹患する病気です。風邪の原因となるウイルスは200種以上もあると言われていますが、冬はコロナウイルスやライノウイルス、(風邪とは区別しますが)インフルエンザウイルスが活動的になります。

これらのウイルスに対して、夏は高温多湿の環境で活動的となるアデノウイルスやエコーウイルス(エンテロウイルス)、コクサッキーウイルスなどが夏風邪の原因となります(小児ではこの他ヒトメタニューモウイルス(3~6月)など)。このようなウイルスが夏に感染を起こす理由は、現代人の生活習慣にもありそうです。


夏風邪の原因! 温度差に要注意

ウイルスが侵入する主な部位である、のどや鼻の粘膜は免疫によって守られています。ところがエアコンや扇風機などで乾燥してしまうと、それだけで局所的な免疫力低下を引き起こすだけでなく、涼しい室内から暑い屋外に出ることによる急激な温度変化は、体温を一定に保とうと機能している自律神経のバランスまでも崩してしまいます。この他にも夏ならではの免疫力低下の原因として、熱帯夜の寝不足、夏バテ(暑気)による食欲不振、日焼けまでもが関わってくる可能性があります。このため、個人の生活習慣によっては風邪の流行する冬よりも、むしろ夏に風邪をひきやすい、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、大人の「夏風邪」と一括することはできませんが、子供のプール熱(咽頭結膜熱)、手足口病、ヘルパンギーナといったウイルス感染症も、発熱やのどの痛みなど風邪と同じような症状を伴うことがあります。これらの病気の原因もやはり夏に活動的になるウイルスです。
  • プール熱……アデノウイルス
  • 手足口病……コクサッキーウイルス・エンテロウイルス
  • ヘルパンギーナ……コクサッキーウイルス
このような夏風邪の特徴をふまえた上で、具体的に対策を考えてみましょう。


次のページでは夏風邪の予防策をご紹介します。
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