なんと、ビタミンEの取り過ぎは死亡率を高めるという発表がありました。でも、どの位が取り過ぎでしょうか?これを調べているうれしい研究者の話をご紹介します。

まさに燃料電池を体現するカラダ

「抗酸化物」という、よく分からない言葉がマスコミにあふれていますね。「食べ物を燃やしてエネルギーを取り出す」とよく言われますが、これは正しくありません。生物は「燃料電池」のような仕組みで食物の持っているエネルギーを取り出しているのです。体温は燃料電池の発熱で維持しているので、決して「ボイラー」で油を燃しているのではありません。呼吸でからだの中に入った酸素は炭水化物や脂肪に直接出会うことはないのです。

すなわち、食物は燃えていません。食品が持っている高エネルギーの水素からエネルギーを取り出して(この過程でフリーラジカル(活性酸素もその一つ)が生じる)、最終的に呼吸で取り入れた酸素と結びつけて「水」にしてしまうのです。

例えば、私たちは一日平均、食品から1.2リットルの水分を取り、飲み物から1リットル、そして体内で作っている水が0.3リットルとされます。砂漠のラクダのこぶの中身は、水ではなくて脂肪であることはご存知でしょう?1グラムの脂肪から1グラムの水が出来ます。炭水化物1グラムでは0.6グラムの水です。どうですか?燃料電池そのものでしょう!


抗酸化ビタミンは多く取るほどいいの?

糖尿病の高血糖はとても酸化ストレスの強い状態です。だから糖尿病者はビタミンCやE、ポリフェノールなどの抗酸化物質が必要ですね。フリーラジカルは合併症の原因になるのです。ビタミンCの大量摂取ではノーベル賞2回授賞のライナス・ポーリング博士が有名ですが、ビタCの大量摂取が効果があるかどうかはいまだに論争があります。2005年4月号のThe American Journal of Clinical Nutritionに、いろいろな論文を分析して、安全なビタC、ビタEの摂取量を計算した面白い論文が載っているので紹介します。

それによると、ビタCでは2000mg/日以下、ビタEでは1500IU/日以下なら、ほとんどの成人は安全であるとしています。かなり高い上限ですね。ポーリング博士に近い数値です。


糖尿病者はどの位のビタC、ビタEが必要か?

世界の糖尿病研究の最先端、アメリカ糖尿病協会のコンスーマー誌『Diabetes Forecast、2005 6月号』に、糖尿病者の動脈硬化を防ぐために1日どの位の抗酸ビタミンを摂取したらいいかを研究している医師の紹介があります。動脈硬化は足や心臓、脳の合併症に関係します。

結論を先に書くと、そのベストの摂取量の組み合わせはまだ不明なのです。研究を主導しているDavid S Schade医師(ニューメキシコ大学医学部教授)によると、「この2つのビタミンは私たちが食事でエネルギーを得る過程の酸化ストレスから身体を守るのは間違いありません。これらは安くて効果的なものです」と述べられています。

同教授によると、今までの抗酸化ビタミン研究の評価のバラツキは、各自が必要にして十分な量のビタミンを摂取していないからではないかということです。そこで20~30人の2型糖尿病者にいろいろな組合わせのビタC・ビタEを与えて、動脈硬化や心臓病の危険を調べています。

テストではビタミンC:1000mg/日(プラス)ビタミンE:800IU/日のグループと、ビタC:500mgとビタE:400IUのグループ、ビタC:250mg/日とビタE200IUのグループ、そして見分けがつかない錠剤のビタミン・ゼロの対照グループに分けました。各々を2週間ずつのローテイションで入れ替えます。そして各サイクルの最後に病院に泊り込んで「飽和脂肪酸」たっぷりの食事(たとえば、ハンバーガーやフレンチフライポテト、シェイクなど)を取ってもらいます。飽和脂肪酸はからだに酸化ストレスを与えるので、血管の炎症を示すC-リアクティブ・プロテインや血液を凝固しやすくさせるフィブリノーゲンの測定をするのだそうです。被験者は食事6時間にわたって30分から60分間に1度採血するそうですから大変ですね。

ところで私はたまたまビタミンEを600mg/日服用しています。歳のせいか、糖尿病のせいか分かりませんが、この数年、シモヤケが出来やすくなったので、末端の血流アップが目的です。Dr.Schadeの結果がどうなるか、個人的にも興味をもって心待ちにしています。

内緒ですが、治療目的のビタミンは安いものですよ。
関連ガイド記事
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。