ナッツを食べても太らない!? 意外な研究結果
2007年2月6日、東京で『ウエストサイズを下げて健康に!咀嚼(そしゃく)と満腹感が体重管理に与える影響』というセミナーがありました。その中でアメリカのパデュー大学の食物栄養学部のリチャード・D・マッテス教授が面白い研究を発表してくれました。20人の女性(18-50歳、BMI 23-30、体重安定、交絡投薬なし、ナッツからのエネルギー摂取<5%)に、毎日2握り(約50g、300kcal)のアーモンドを10週間食べてもらって、体重がどの位増えるかを調べたのです。ナッツのカロリーの80%は脂肪によるものですが、さて、どうなったでしょうか。
この研究の背景には不可解な現実があったのです。ハーバード大学が1980年から行っているNurse's Health Study(ナース健康調査)では、ナッツ類をほとんど食べないグループよりも、ナッツを食べる程にBMIが小さくなる(やせている)ことが疫学的に分かりました。週5回以上ナッツ類を食べているグループのBMIが一番小さかったのです。
ナッツを食べるとフィットネスに効果があるのか、ヘルシーな生活習慣を心がけているからナッツの摂取が多いのか、あるいはその両方なのか、疫学調査ではわかりません。そこでマッテス教授は20人の女性に1日2握りのアーモンドを食べるようにと言っただけで、食生活に影響するような条件は一切つけませんでした。
1日300kcalのアーモンドを10週間毎日食べたのに、なんと体重の変化はほとんどありませんでした。やせなかったけど、太りもしなかったのです。
ナッツを食べても太らなかった理由とは?
マッテス教授は3つの理由を挙げています。
満腹感が増すことには2つのキーワードがあります。「咀嚼(そしゃく)」と「ダイエタリー・コンペンセーション」です。アーモンドはオレイン酸や、同じ重さの肉と同じだけのタンパク質、ファイバー、ビタミン・ミネラルが豊富にあります。咀嚼を十分にすることで栄養素の吸収を高め、満腹ホルモンの反応をうながします。「ダイエタリー・コンペンセーション」とはアーモンドの満足感が高いので、その分ほかの食物の摂取が減る効果を指します。別の研究の成果から、アーモンド300kcalを取るとその68%すなわち200kcal分は他の食物摂取が少なくなると考えられます。確かにお腹がいっぱいになればストップしますね。
次のエネルギー消費の増加というのは、アーモンドを食べると安静時エネルギー消費の増加が確認されました。1日の必要エネルギーの実に75%は安静時エネルギーですから、これが増えれば大きいですね。アーモンド300kcalの内、75kcalがこれで償却されてしまいます。
そして最後のエネルギーの喪失とは、食べたアーモンドのある程度は粒のまま便になって排泄されてしまいます。この分が25kcalぐらい。
いかがですか?
300kcal-(200+75+25)=0なんです!
だから太らなかった……うれしいミステリーですね。
さて、いいことずくめのアーモンドですが、自由に食べるのではなく、スナック菓子の代りにするといいですね。私は生(なま)のアーモンドをいつもポケットに入れてあります。
何かを我慢しろと言われるのは辛いけど、アーモンドを1日1握り食べろと言われれば二つ返事で引き受けますよ。
関連リンク
from All About[糖尿病]
from All About[糖尿病]
from カリフォルニア・アーモンド協会