アメリカでは3分間に1人は糖尿病で亡くなっているというのに、相変わらず一般人の糖尿病に対する認識度は低いようです。
小児糖尿病研究財団(JDRF、本部ワシントンDC)が中心となって、糖尿病とその合併症についての理解を調べる10の質問を作り、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスで一般大衆の理解度をリサーチしました。
それによると、アメリカ人の81%はインスリン注射をしていれば、1型糖尿病の合併症が予防できる、あるいは遅延できると考えていました。もちろんこの『誤解』はアメリカだけではありません。カナダも81%、オーストラリア86%、イギリス76%もの人がそうでした。日本人の認識度はもっと低いのではないでしょうか。
4か国の半分以上の人が1型糖尿病と2型糖尿病の相違を知りませんでした。そういう分け方があることも知らないのです。
同様に、腎不全や失明、手足の切断が糖尿病の合併症のひとつであることも知りません。
また、オーストラリア(60%)、イギリス(57%)の人が、インスリン注射を我慢していれば1型糖尿病で死ぬことはないと考えていました。アメリカ(37%)、カナダ(43%)ではこの問題は比較的よく理解されています。
良いニュースもありました。糖尿病は予防が難しく、完治する治療もないことを多くの人が知っていたのです。
糖尿病は食物のエネルギーを効率よく使うことが阻害される病気です。大きく分けると、子供の頃に発病することが多いタイプ(1型)と、45歳以上になると多く発病するタイプ(2型)があります。同じ病名でも原因が全く異なる病気です。
1型糖尿病はインスリンというホルモンをほとんど分泌できないので、インスリン注射をしないと生きていけません。2型糖尿病というのはインスリンは分泌していますが、体がそれを効果的に使えないのです。ここに遺伝と生活習慣が関与します。2型でもインスリンが十分に作れなくなるとインスリン注射が必要になります。
大事なことは、インスリンは糖尿病を治す薬ではなく、合併症を予防する薬でもないということです。食物のエネルギーを体の中にとり込むために使っているのです。
小児糖尿病研究財団というのは1970年に糖尿病の子供を持つ親達が結成した、NPOかつNGOの民間団体です。子供達のために資金を集めて、1型糖尿病の研究、治療法の発見、移植、啓もう運動などに力をいれています。今日までに合計410億円以上の研究費を提供しています。全世界に連帯が広がっていて、2001年だけでも120億円の予算が組まれています。その85%が、直接研究費にあてられることが担当者の自慢です。
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小児糖尿病研究財団
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