5年ぶりに厚生労働省が発表した糖尿病実態調査(速報)によると、糖尿病予備軍を含めて1,620万人が「糖尿病が強く疑われる」あるいは「可能性を否定できない」そうです。
これは成人の6.3人に1人にあたります。1997年の前回調査と比べ、この5年間で250万人の増加です。
実態調査は今回が2回目で、20歳以上の5,792人を昨年11月に間診やA1Cテストをして全国の糖尿病者数を推計しました。
「糖尿病が強く疑われる」のはA1Cテストが6.1%以上の人で、これは空腹時血糖値126mg/dl, OGTT(75g糖負荷後2時間血糖値)200mg/dlに相当するとされます(伊藤千賀子 1998 糖尿病41 Suppl 2 : A101-A105)。
空腹時血糖値126mg/dl以上、OGTT 200mg/dl以上というのは糖尿病の臨床診断の基準でもあります。
しかし、世界的にみてA1Cテストは糖尿病診断にはまだ使われていません。ですから、「糖尿病を強く疑う」という表現になるのでしょう。
A1Cは正常の人でも4%~6%と広く分布していて、前糖尿病状態の人でも糖尿病型の人でもA1Cは正常値ということがあるのです。
臨床診断は症状、空腹時血糖、合併症の有無、OGTTなどで診断を下しますが、疫学調査では集団の糖尿病の有病率を推定するのでそこまではできません。
日本ではA1Cテストを使いましたが、アメリカの統計調査では空腹時血糖を主にして、サブサンプルとして40歳~74歳の対象者にはOGTT(ブドウ糖負荷テスト)も行うとされています。
今回の調査では男性の50歳代で14.0%、60歳代17.9%、70歳代21.3%と中高年で「糖尿病が強く疑われる人」が特に高かったのが気になります。これに「可能性を否定できない人」A1C 5.6%~6.1%が加わりますから、3人に1人あるいは2人に1人が糖尿病の可能性があります。
60歳、70歳で生活習慣を変えるのはつらいでしょうね。でも人生を全うするためにはガンバラなくっちゃ!
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