糖尿病/糖尿病の経口薬・インスリン

注射器なしのインスリンが正夢に

注射器の要らないインスリンが欲しい…糖尿病者の長年の夢が実現しようとしている。一番早く実現しそうなのが吸入式インスリン。次いでインプラント式インスリンポンプあるいはコイン型のインスリン装置。特殊なコーティングで小腸に届くインスリン錠。そして口中にシュッとひと吹きのインスリン・エアロゾルなどである。

執筆者:河合 勝幸

注射針のないインスリンが欲しい…全てのインスリン治療者の夢がまさに正夢になろうとしています。
今までに、飲み薬にする、鼻にスプレーする、パッチを貼るetc.およそ人が思いつくことは全部試されたでしょう。しかし実用にはなりませんでした。ところがテクノロジーの進歩と共に昔の夢を正夢にする方法がいろいろとでてきたのです。

▽吸入式インスリン
ワシントン大学糖尿病センター所長のDr.Hirschの予想によると、2001年中にはピークのない、1日1回の注射で基礎インスリン(basal)がまかなえる『glargine』が発売されて、2002年には初めての肺からの吸入式インスリンが実現しそうだとのことです。1日1回注射の基礎インスリンと、食事の時の超速効性インスリンの組合せは、ほとんど夢の実現です。

年内にも吸入式インスリンの臨床データをFDA(アメリカ食品医薬品局)へ提出予定のInhale Therapeutic Systems(カリフォルニア)社長のロバート・チェス氏によると「一番大きな問題は、最適な大きさのインスリン粉末をどうやって作るかにありました。粒子が大きすぎればインスリンが気管や気管支につかまってしまい、逆に小さすぎれば呼気と共に再び体外へ出て行ってしまうのです」

大手の製薬会社ファイザーやアバンティス・ファーマは注射用のインスリンの粉末化に成功していると伝えられています。

▽インプラント式インスリンポンプ
現行のインスリンポンプはカセットテープぐらいの大きさで、針を腹部の皮下に刺して本体をベルトや着衣に固定します。
どうしても水に弱く、インスリンポンプを使っている1型糖尿病のミス・アメリカ(1999)ニコール・ジョンソンさんによると、4つの『S』の時はポンプをはずすのだそうです。スイミング、シャワー、セックスなどです。
インプラント式インスリンポンプは現行モデルのものよりも、インスリンを自動的に放出するコイン状のものを埋め込む方法が有力です。

▽インスリン・ピル
インスリンはたんぱく質なので直に飲んでも消化液に分解されてしまいます。ならばインスリンをカプセルに入れて小腸まで送り届け、そこで体内に吸収させようという目論見が昔から行われてきました。今までのところ、ことごとく失敗でした。規定量が安定して吸収できなかったり、大量のインスリンを使ってもほんの僅かな量しか利用できなかったからです。しかし最新のテクノロジーで夢の挑戦が続いています。

▽インスリン口中スプレー
舌下錠のように口中の粘膜から血液中に吸収させようという発想です。高分子の物質を粘膜から吸収させる技術を持つアメリカの会社やインドの会社から時々ニュースがリリースされますが、具体像はなかなか見えてきません。
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