糖尿病/糖尿病の原因・基礎知識

なぜ高齢者が糖尿病になるのか(2ページ目)

糖尿病はもともと老人病だったのです。加齢と友に、肥満もないのにインスリン抵抗性が高まるのは、細胞内でエネルギーを作り出す『ミトコンドリア』の活性が落ちるからだという発表がありました。

執筆者:河合 勝幸

日本の厚生労働省の調査でも、70歳以上の女性では3人に1人が糖尿病を強く疑われる状態でした。アメリカでも60歳以上の人の4人に1人は2型糖尿病があります。耐糖能障害という『前糖尿病状態』も含むと、なんと40%の人が該当しますから大変な事態です。

筋肉細胞や肝臓細胞、あるいはインスリンを分泌する膵臓のベータ細胞に脂肪が蓄積するとインスリンが効かなくなる、いわゆるインスリン抵抗性が著しくなることは1990年代の前半から知られていました。
今回のDr. Gerald Shulmanらの研究では、筋肉細胞内に脂肪がたまる理由として2つの仮説を立てました。
一つは脂肪細胞がより多くの脂肪酸を放出するので、それが筋肉や肝臓にたまってしまう。そのうえ(あるいは、それとも)、加齢と共に脂肪酸をエネルギーに替えるミトコンドリアの機能が低下するから細胞内に脂肪が余ってしまうのか、というものです。

核磁気共鳴装置(NMR)などを使って調べたところ、やはり高齢者は筋肉細胞の中に中性脂肪を多くためていました。
これらの人の脂肪細胞は特に多くの脂肪酸を放出していないので、やはりミトコンドリアの機能低下が原因であることが分かりました。
高齢者では若者と比べるとミトコンドリアの活性が40%までダウンしていたのです。
ベータ細胞でも同じようにミトコンドリアの活性が落ちていれば、インスリン抵抗性から2型糖尿病への進行が完成されます。

高齢になってもミトコンドリアの活性を高める薬ができるといいのですが、まだまだこれからの話です。
今できることは…運動するのみです。
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