私が2型糖尿病と診断された25年前、いろいろな本を調べたところ、USAの資料では糖尿病者の寿命は一般人と比べて約10年短いという説が有力でした。
当時の日本人男性の平均余命が70歳ちょっとだったので、その10年マイナスでは60歳になります。
これでは年金を取られっぱなしでバイバイすることになります。
厚生省(当時)の役人を喜ばすだけだなんて、そうは問屋がおろさないとばかり糖尿病の猛勉強を始めたのが私と糖尿病のなれそめです。
さて、最新情報はどうでしょうか。
糖尿病と寿命のニュースが2本入っています。
ひとつはトロント大学(カナダ)の研究者によるもので、『糖尿病者の平均余命は12年も短い』というものです。
同大学の公衆衛生学のダグラス マヌエル教授によると、糖尿病のある男性の平均余命は64.7歳で、一般人の77.5歳に比べると12年短くなります。
女性も糖尿病があると平均余命が70.7歳しかなく、一般人の82.9歳に比べて12年以上短くなるというものです。
もし糖尿病が根絶できたとすると、カナダ男性の平均余命が2.8年、女性の平均余命が2.6年延びる計算ですから、がんの根治と同様のインパクトがあります。
もう1本のニュースはイギリスのもので、2型糖尿病者がBMI・35以上という超肥満だと平均余命が70歳に下がるということです。
ちなみに2型糖尿病があっても標準体重(BMI・20~24)では平均余命が78歳だったのですから、肥満は2型糖尿病者の寿命を8年縮めることになります。
これは44,000人のコホート(群)スタディで、それだけ信頼性が高いという触れ込みですが、どう見たって平均余命が高すぎます。
2型糖尿病でBMI・35以上の人が平均余命70歳とは上記のトロント大学のデータと比較しても異常です。
詳しい資料がないのですが、44,000人の平均年齢が63歳だったのに対し、かなり多数の70代後半の2型糖尿病者を含んでいたそうです。それらの人が2型糖尿病者の平均余命を底上げした可能性があります。
存命中の高齢糖尿病者だけを分析すると、糖尿病者は結構長生きだなんていうことになるかもね。
統計でミスリードするのはとても容易なのです。
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