自己血糖測定を正しく行うために
■ 2回測定して数値の正確さを確かめる患者自身が採血して測定する場合、実は大切なことを習っていないので測定値かなりバラつきが出てしまいます。
血糖を自分で自立的にコントロールできない糖尿病患者にとって、測定器は本当にありがたい物ですが、2回測定すると違う数値になるのは困りますね。
家庭用の軽便なものですから、正確さはパーフェクトではありません。メーカーでは健常者の血糖値で+/- 10%以内と言っていますが、この話もうのみにできません。つまり、70mg/dlから140mg/dlの範囲なら+/- 10%以内ということで、実際はそれよりも低い低血糖ゾーンや200mg/dl以上の高血糖ゾーンでは精度が下がるのです。アメリカやカナダ、ヨーロッパでは100mg/dl以下と高血糖ゾーンでは+/- 20%以内に収める規制がありますから日本のもその範囲内なのでしょう。
今回の自主回収は特に70mg/dl以下でかなり低い測定値が表示されてしまう可能性から行われたものです。誰だってびっくりしますよ。
自己血糖測定で大切なことは、自覚できる状態と測定値にズレがあればもう一度正しく測定することです。これはぜひ覚えておいてください。
■ 温度に影響される測定器の性質を知っておく
測定方法はメーカーによって相違がありますが、基本的には血中のブドウ糖(グルコース)をグルコースオキシダーゼあるいはグルコースデヒドロゲナーゼという酵素で酸化して、その反応で生じる過酸化水素や電子をはかるものです。酵素反応ですから環境の温度に影響を受けます。
常温(15~25℃)なら補正されますが、冬の早朝のような低温、あるいは夏の車内に置いてあったような高温状態では十分に補正できずに誤作動します。今回の自主回収はこの冬の低温と低血糖ゾーンの二重の悪条件が重なったために起きたものです。他の測定器でも寒い朝の血糖測定は不正確になりますので、これも覚えておいてください。
私の家は寒風が強く当る畑の中の一軒家ですから冬の早朝はかなり冷え込みます。ですから早朝の血糖値は役に立たない程低く表示されます。
それでも今回の機器のような自主回収が出ないところをみると、+/- 20%の範囲内に収まっているとメーカーは判断しているのでしょうね。
+/- 20%と言うのは、本当の血糖値が70mg/dlとすると56mg/dlと84mg/dlの間のいずれの数値も許容されるということです。
これでも役に立つと思う人、信頼性に欠けると思う人、様々でしょうね。
血糖測定に影響するその他の因子としては高い所(酸素の薄い所)や湿度(バスルームなど)、寒暖差による結露、一度凍らせてしまったセンサー(チップ)、採血量不足、水にぬれた手で扱ったセンサー、ビタミンCを大量に摂るメガビタミン療法などがあります。この機会にもう一度測定器やセンサーの取扱い説明書をお読みください。
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