プレ糖尿病は特に『がん』になりやすいけど、2型糖尿病になってしまうと『がん』になりにくいという、"ヤッホー"な発表がありました。
その辺のテレビに登場するタレント医師の『よた話』ではありません。
全米ベスト病院のトップ3にいつも入っているジョーンズ ホプキンス大学ブルームバーグ、公衆衛生学(当時)のDr.シャロン H.セイダーと共同研究者の成果です。
Dr.セイダーは今年の7月からはCDC(疾病予防センター)へ転じました。
炭そ菌騒動でおなじみのCDCは、もちろんアメリカの国家機関です。
[American Journal of Epidemiology 2003;157:1092-1100]
あいまいな言葉が大好きな日本は、『糖尿病予備軍』だとか『境界型糖尿病』なんていう訳の分からないネーミングをつけていますが、近年アメリカでは『プレ糖尿病』という表現をするようになりました。糖尿病前症です。具体的には、ブドウ糖負荷テストの2時間後の血糖値が140-199mg/dlであり、かつ、空腹時血糖値が110-125mg/dlの人を指します。
このグループが2型糖尿病になりやすいのはもちろんのこと、心臓病や脳血管障害を起しやすいことはよく知られていましたが、今度は『がん』にもなりやすい事実が浮かび上がりました。特にアメリカでは大腸がんになるリスクが、血糖値が正常の人と比べると4倍も高いそうです。
『プレ糖尿病』の人は肥満と運動不足の代名詞のように見られています。
研究者は1976年から1980年にかけての、全米3,054人(30歳から74歳)の男女のサンプルから解析しました。年齢、性別、その他のがんのリスク因子を考えあわせても、『プレ糖尿病』の人のがん死が明らかに多いのです。