糖尿病バーンアウト
『糖尿病バーンアウト…燃えつきないためのセルフケアとサポート』
W.ポランスキー著、石井均監訳、医歯薬出版、230ページ、3,400円
ISBN4-263-23399-9
ある時、K医師の紹介状を持って見知らぬご夫妻がお見えになりました。奥さんの方は糖尿病患者でした。用件は「コントロールの悪い家内を叱ってください」とのこと。もちろん、大いに叱りましたよ。ただし、ご主人の方をね。

糖尿病ポリスとは?

このご主人は典型的な糖尿病ポリスだったのです。
家族の一人が糖尿病になると家族全員が緊張しますね。そして、このご主人のように書店で手当り次第に糖尿病の本を買ってきて、本人によく読むように強要します。
でも、こう言ってはなんですが、日本の医師が書く糖尿病の本はどれを読んでもほとんど同じことが書いてあるのです。だから全部読めと言われるのは本人にとってはとても苦痛なんですよ。なんと言っても生まれて初めて目にする事柄なんですから。
この奥さんの場合は気の毒なことに娘さんも父親似の気質で、お母さんにサプリメントや健康雑誌の糖尿病記事をどんどん持ってきてくれるのだそうです。

で、A1C(エーワンシー)が少しでも悪いとご主人と娘さんから叱責を受けることになります。すべては愛情から出たことなんですが、それが本人を苦しめてしまいます。
食卓で料理に手を伸ばすたびに家族の冷たい視線を浴びたら、やりきれませんね。
これが糖尿病者から見ると、取締りの厳しい警官(糖尿病ポリス)に囲まれているような状態なのです。互いにフラストレーションが高まる一方です。

私が薦めたのは『糖尿病バーンアウト…燃えつきないためのセルフケアとサポート』という本を家族全員で読むことでした。そして全員で「きたんのない意見」を交すのです。
実は、私は糖尿病ポリスについてはちょっと詳しいのですよ。なぜなら、この本の14章「糖尿病警察」のところを訳したのが他ならぬこの私なんですから。


糖尿病ポリスと和解する方法 ~基本編~

1. よく話し合うことからスタート
できるだけ友好的な態度で糖尿病ポリスにあなたが不満に思うことを正直に話しましょう。
彼ら(家族・友人)の心配はよく理解しているし、感謝もしていることを伝えましょう。
でも、「何をどうするかは自分で決める」ということを主張してください。
大事なことは、あなたを心配している彼ら(糖尿病ポリス)を非難しないで、互いに理解しあうことなんですからね。

2. 自分なりに努力していることを知らせる
いちいち自分でやっていることを家族や友人に説明するのはいやです。でも相手はあなたにベストコントロールを望んでいるのです。
だから糖尿病ポリスの目の前で何気なく血糖測定をしてみて、その数値を教えましょう。その結果を自分がどう行動に移すかも見ていてもらいます。
私は血糖値を測定したら、さりげなくワイフに伝えますよ。その結果は次の食事のメニューと量にきちんと生きてきますから。

3. 糖尿病ポリスが本当の味方になるように仕向ける
糖尿病ポリスはあなたのことを心配している人たちですから、手伝うなといってもやめさせることはまずできません。
だったら心をかき乱すような見当違いの援助ではなく、もっと本当に役に立ってもらいましょう。ポリスは糖尿病のことを知らないのですから、教えるのではなく頼むことで理解を深めてもらいましょう。

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