離乳食を、いつ・何を・どの位、与えるかが1型糖尿病と深い関係があるとしたら、とて気になりますね。小麦や牛乳が疑われています。

自己免疫システムが誤ってインスリンを作るベータ細胞を攻撃してしまう1型糖尿病は、インスリンの発見以前はまさしく死の宣告でした。もちろん今では人生を全うできますが、依然として当人にとっては気の休まる暇もないたいへん負担の大きい疾病です。

1型糖尿病に遺伝子が関与しているのは確かですが、環境因子として何が発症のスイッチを入れるかは相変わらずなぞのままです。以前からウイルス説もありますが、アレルギーの原因となる食物のタンパク質も有力な手がかりです。
10年ぐらい前は牛乳のタンパク質が疑われていましたが、後に牛乳は『無実』だという研究が増えてきて、今日ではまた小麦のタンパク質(グルテン)が注目されています。

乳児や幼児は腸のバリアーが未完成なので、タンパク質が完全にアミノ酸に分解される前に体内に入ってしまうことが考えられます。食物のタンパク質は体にとって異物なので抗体が形成されます。アレルギーみたいなものですが、なぜかインスリンを作るベータ細胞だけを攻撃するメカニズムがあるのです。

JAMA(アメリカ医師会誌)10月1日号に1型糖尿病の小麦タンパク原因説が2論文掲載されました。乳児の離乳食を与える『タイミング』に問題がありそうだという研究です。もちろん、この結論は急ぎすぎるという専門家もいます。

一つの論文はアメリカのもので、家族歴のある1型糖尿病のハイリスクな子ども1,183人の血液テストと離乳食などを調査しました。
それによると生後4ヵ月以前、あるいいは6ヶ月以降に穀物(シリアル)を離乳食として与えられた子どもがベータ細胞への抗体を持つハイリスクグループでした。この特有の抗体はベータ細胞が壊される数年前から現われるものです。
グルテン(小麦タンパク)の有無にかかわらず、生後4ヵ月以前に穀物を与えられた子どもはこの自己抗体をもつリスクが4倍も高く、逆に7ヶ月をすぎてから与えられた子どもも5倍のリスクがありました。
これらの子どものリスクは、4ヵ月~6ヶ月の間に穀物を離乳食として与えられたグループと比較したものです。
実はアメリカの小児科医の勧める初めての穀物を含む離乳食のタイミングは、まさしくこの4~6ヶ月の間だったのです。

もう一つの論文はドイツでの調査によるもので、1型糖尿病者を親にもつ新生児1,610人を追跡したものです。
初めての母乳あるいは人工ミルク、離乳食やグルテンの有無などを分析しました。
この場合は生後3ヶ月までにグルテンを含む離乳食を与えられた子ども達が、3ヶ月以降の子ども達に比べて自己抗体発現のリスクが5倍も高くなりました。