テロメアの画像 http://stemcell.nih.govより 成人の幹細胞のテロメアが短いのが分かります。 |
今年の6月にカナダのトロントで開かれた内分泌学会で、メキシコの研究者が2型糖尿病を長い年月患っていると、細胞分裂をコントロールしているDNAのテロメアが短くなることを発表しました。同年齢の健常者や、同年齢の2型と診断されて1年以内の人達と比べたものです。病歴の長い2型糖尿病者のテロメアは明らかに短くなっていたのです。
そもそもテロメア(telomere)とは?
テロメアはよく靴ひもの先端についているプラスチックの留め具に例えられます。遺伝子情報はDNAの長い塩基の鎖に載っていますが、その両端に遺伝子情報を持たない6個の塩基が数多く繰り返しています。この部分がテロメアです。一つの考え方はDNAがほつれないように、また他のDNAと結合しないようにするのでは?というものですが、まさしく靴ひもの留め具ですね。このテロメアは細胞分裂のたびに短くなります。6個の塩基TTAGGGおよび対のAATCCCというセットは染色体の両端にヒトの場合は生れた時に8,000あり、成人して3,000、高齢者で1,500に減るとされています。1回細胞分裂すると30~200セットを失います。
細胞はこうやって分裂回数をカウントしているらしいのですが、ヒトの場合は50~70回の細胞分裂で終りになります。それが細胞の寿命なのですが、短くなったテロメアを修復する酵素があると不死身になりますよ。限りなく増殖する細胞、つまりガン細胞です。これは願い下げです。
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