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痛みや熱、運動を感知する神経ネットワークを、有線電話網に例えてみましょう。電線がショートしたり断線すると、電話が混線したり通話不能になったりします。
高血糖状態が長く続くと、神経細胞や信号を伝える軸索(じくさく)が糖化(劣化)し、損傷を受けやすくなります。こうなると痛みや高熱を感じなくなったり、ありもしない刺激(信号)を発信したりします。つまり、電話線のトラブルと同じことが足でも起きるのです。
足の末梢神経は脳や脊髄の中枢神経系から一番遠い所にあるので(つまり遠距離通信なので)、糖尿病による神経障害がもともと起りやすい部位なのです。
末梢神経障害の自覚症状はとても個人差があります。足がピリピリしたりチクチクする程度から針の山を踏んだような激しい痛みまで、また常に足の上を水が流れているような幻覚やしびれ、ベッドのシーツに足が触れただけで過敏な反応が起きる人もいます。
こういう奇妙な感覚は眠りを妨げて日常生活に支障を来しますが、本当に危険なのは"何も感じないこと"です。感覚を失った足は画びょうを踏んでも気がつきませんし、靴の中に小石が入っていても知覚できません。痛みを感じにくいため、けがや火傷(やけど)を負っても気づかずに放置しがちです。
けがが治りにくくなります
さらに困ったことは、血糖コントロールが悪いと動脈硬化が進んで足の端まで血液が流れにくくなってしまいます。こうなると足の細胞が必要とする栄養素や酸素、免疫細胞が十分に行き届かなくなるのでけがが治りにくくなります。傷口が治らず、体を守る免疫システムが働きませんから感染症が進みやすく、ちょっとした傷が化膿してしまいます。それが潰瘍(かいよう)になり、さらに進むと組織が死んでしまう壊疽(えそ)となって場合によっては足を切断しなくてはならないこともあります。外傷だけでなく、タコやウオノメの放置からでも大事になりますからご注意ください。
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