強迫神経症・不安神経症・パニック障害/パニック障害

【パニック障害】代表的な精神病の症状Vol.4 強烈な不安感に襲われたときは…

パニック障害は、突然の恐怖、不安感に襲われ、動悸、呼吸の切迫、気が遠くなり、今にも死んでしまいそうな感覚におちいるパニック発作が主症状の、精神疾患です。適切な治療によって劇的に改善します。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

●突然不安や恐怖に襲われたりした経験はありませんか?

最近、突然不安や恐怖感に襲われ、心臓がドキドキしたり、冷や汗が出て呼吸が早くなってしまった。という経験はありませんか?ひどい場合は、自分が自分でなくなるような気持ちになり、今にも死んでしまいそうな気になってしまったり。こんな症状に覚えのある方は、ここ数年増加傾向にあるパニック障害についてチェックしておいた方が良さそうです。



●まずはパニック障害の特徴から

上記の”突然不安や恐怖感に襲われ、心臓がドキドキしたり、冷や汗が出て呼吸が早くなって”という症状は、パニック発作と呼ばれ、パニック障害の特徴です。

体に問題があるわけではなく、病院で精密検査をしても、異常は発見されません。

パニック障害は、、20代の女性が多く、一生で、これを経験する人は2~5%です。

最初の発作は、前兆なく、まったく突然のことが一般的です。発作は最初の10分間に急速にパニック症状が増強し、20~30分続きます。その間、極度の恐怖感にさらされ、今にも死んでしまいそうな感覚になります。身体症状として、動悸、呼吸が速く浅くなり、呼吸困難、また、発汗を伴います。

しばしば、患者さんは、心臓発作が起きたと勘違いされます。

発作は一回だけで終わらず、通常、再発します。

発作がまた、起きるのではと、予期不安を持つようになったり、、発作の起こった場所や状況を避けるようになり、また、広場恐怖といって人ごみや、行列、満員電車など、逃げ出すに逃げ出せないような場所を恐れるようになります。

それでは、典型的な例を挙げてみます。


●典型的な例

26歳の女性が、パニック発作を主訴として、精神科にいらっしゃいました。

彼女の話によると、最初の発作は、1年ほど前、自宅のソファでテレビを見ているときに起こりました。発作は、何とも表現できない、不安の波が押し寄せ、心臓は激しく脈打ち、息は、空気をもとめてあえぎ、まるで、誰かが上にのったかのように胸が痛くなったそうです。この発作は、しばらくしておさまったのですが、彼女は心臓発作を起こしたと信じて、近くの病院の救急病棟(ER)に飛び込みましたが、検査で異常はありませんでした。

5ヶ月ほどして、今度は、職場へ歩いているときに、また、同じような発作が突然、起こりました。仕事を休んで、病院で検査をしても、異常はなく、かわりに、不安症状が強いとして、精神安定剤を処方されました。

また、3ヶ月ほどして、発作が、スーパーで買い物をしているときに起こりました。恐怖のあまり、買い物かごの中味を落としたまま、家に走って戻りました。

その後、発作の間隔が、数週間に一回から、毎週、そして、毎日と短くなっていき、起こる場所には、特に決まりがなく、家、レストラン、職場と、どこでも起きます。

発作のことで、頭がいっぱいになって、仕事どころではなくなりました。

精神科にやって来たときには、発作は、一日に数回起こる状態が2ヶ月も続いていました。

次に原因について述べます。


●では、原因は?

発作の直接の引き金としては、忙しい生活からくる精神的圧迫感や、恋人とのトラブルといった、心理的要因が関連しているようです。

しかし、この病気の本質的原因は、もっと生物学的なものにあり、脳内の神経伝達物質の働きの異常が背景にあり、そこに、先ほど述べたような強いストレスが加わって、発作がおこると考えられています。

治療としては、、この乱れた“脳内神経伝達物質”の働きを元に戻そうと、SSRIといった薬が使われ、たいへん効果があります。


●もしもパニック障害が疑われたら

心の病気、全般に言えることですが、早めに治療が原則です。上の例でも、患者さんが精神科にいらっしゃった時には、最初の発作から1年が経過して、病状がずいぶん重くなっています。

しかし、精神科は、なんとなく敷居が高く、なかなか気軽に受診とはいきませんね。 症状が重くなっては、回復に時間がかかり、その間、お仕事にも支障が出て、コストが結局、高くついてしまいます。是非、精神科のドアを叩いてくださいね。

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