人生の「たそがれ」に起こりやすい老人性うつ。認知症によく似た症状が見られたら要注意です。
「もう死んでしまいたい」--。こんな言葉がお年寄りの口からもれたら、思わずドキッとしてしまいますよね。介護している側としては、「私たちの介護、間違ってる?」なんて、悲しくなってしまうのでは。しかし、この「死んでしまいたい」という言葉。うっかり聞き過ごしていると、とんでもない病気のサインを見逃すことにもなりかねません。今、巷を賑わしている「うつ病」の可能性が大アリだからです。



喪失感からお先真っ暗気分に


うつ病は脳の「元気」が失われてしまう病気。なんにもやる気が起きず、お先真っ暗な気分になってしまいます。原因は、ノルアドレナリン、セロトニンなどの脳内活性物質の分泌異常。不眠、食欲不振、倦怠感、判断力の低下、周囲への関心の低下、喪失感、不安感、理由のない悲しみなどが続いたら要注意信号です。

原因はいろいろですが、お年寄りの場合は「喪失感」がきっかけとなることが多いといわれています。親しい人が次々と亡くなってゆき、自分自身も社会から遠ざかっているばかりか、刻々と体力も弱まりつつある--。お年寄りの喪失感は、元気な世代が想像する以上に深刻で大きな問題かもしれません。このほか、「話し相手がいなくなった」「病気になった」「家や自室に引きこもっている」「引越しなどで環境が変わった」などが引き金となることも。

厄介なことに、老年性うつ病の症状は認知症にとてもよく似ています。「もう何もしたくない」「何もわからない」--一見、呆けの徴候かと思われる言動は、実は「うつ病の前駆症状」という場合もあります。寝たきりのお年寄りはなおさらかかりやすいそう。

うつ病のサイン


認知症の患者さんと違い、うつ病患者は自殺願望を抱くことがあります。これら言動や様子が2週間以上続いているようなら要注意!慌てず騒がず、すぐに専門医に診せるようにしましょう。

表情に変化がみられない
1日中ぼうっと過ごしている
沈んだ様子だ
イライラしている
日々の生活に関心がないようだ
日中、居眠りをしている
夜はよく眠れないようだ
何をしていても楽しくなさそう
突然興奮して怒り出したりする
食欲がない
急に痩せたり太ったりした
いつも疲れ気味で体をうごかすのが億劫そう
集中力が続かない
物忘れが激しい
周囲が理解できないことを言ったりやったりする
「自分など何の役にも立たない年寄りに過ぎない」などと言う
「何もかも自分が悪いのだ」などと言う
「死んでしまいたい」などのセリフを口にする
実際、死のうとしたことがある
周囲の迷惑など何も考えずに行動する

こんなとき家族は、けっして励ましたりしないこと。「何を言ってるのよ、まだまだ頑張ってよ」などの激励は、崖っぷちに立つ人の背中を押すようなもの。また、気分転換させようと、安易に旅行や買い物に誘うと、ますます症状を悪化させてしまうこともあります。症状の進行度にもより、ケースバイケースですが、対応は医師に相談してから。あまり干渉しすぎず、しかししっかりと見守るようにしましょう。その上で医師の診断に従い、薬をきちんと服用させたり、環境を整えたりするなどの努力を。

うつ病は脳の病気に過ぎません。けして介護のしかたが悪いから発症するわけではないのです。間違っても自分を責めたりせず、必ず治ることを信じてあげてください。実際、うつ病は必ず治る病気です。



さていかがでしたか。お年寄りの変化を軽視して、「ぼけてきたのかしら。もう年ね~」などとやり過ごしていると、とんでもない結果を招くことがあります。適切な対応を心がけましょう。
  
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