肩こり/肩こりの原因・しくみ・肩こりに潜む病気

上司が原因で肩こりに?

「長時間にわたるデスクワークや、悪い姿勢を続けたわけではないのに肩がこる…」という人は要注意。今回は、『人間関係』によるストレスが引き起こす「肩こり」に迫ります!

檜垣 暁子

執筆者:檜垣 暁子

カイロプラクティック理学士 / 肩こり・腰痛ガイド

心当たりが無い肩こりの原因とは?

肩こりは働く人々にとって悩みの種です。パソコンの使用により起こる肩こりや、長時間のデスクワークによる肩こり……と、原因もさまざまです。しかし、原因に心あたりが無いのに「肩がこっている」と感じたことはありませんか? 

肩こりには関係ないだろうと思っているかもしれませんが、「あなたの上司」が、肩こりをつらくさせるモトになっている可能性があります。意外と知られていない「人間関係」と「肩こり」について考えてみましょう。


上司のキツイひと言で身体に変化が!

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上司の顔を思い出すたびに不快な気分から抜け出せなくなってしまうあなた!肩こりになる可能性が大です。
「上司がキライ」「上司がコワイ」などの不快感や恐怖感が原因となり、肩こりをひきおこすことがあります。職場で上司に納得のいかない、ものの言われ方をされたとしましょう。この時、上司からのキツイひとことがストレッサー(ストレスを引き起こすもの)となり、あなたの身体は意思とは無関係に『緊張状態』になってしまいます。

この『緊張状態』は、キツイひとことを言われた翌日にもおこることがあります。その上司の顔を見て「また、何か言われてしまったらどうしよう…」という恐怖心が頭をよぎり、嫌な気分が続いた時にも起こることがあります。また、当時の状況を思い出しただけでも『緊張状態』に陥ることがあるのです。「嫌な気分」「不快感」「恐怖心」を抱くことが、肩こりをつくりだすモトとなります。

緊張すると血管がちぢむ?

『緊張状態』に陥ったとき、身体の中ではどうようなことが起きているのでしょうか?  ひとつに自律神経の変調があげられます。自律神経は、無意識のうちに内臓を動かし、身体を適切な状態に維持、調節する重要な働きがあります。しかし、自律神経の働きに狂いが生じ、自律神経のうちの『交感神経』が、『副交感神経』の働きよりも優位になる状態が続くと、慢性的な『緊張状態』をつくり出してしまいます。

血管を収縮させる働きのある物質(アドレナリン・ノルアドレナリン)の分泌が盛んになり、血管収縮が続くと血行不良になります。血行不良になると、筋肉への栄養・酸素が回らず、老廃物も流すことが出来ず、硬くて肩コリを感じるような筋肉の状態になってしまうのです。

肩こりは、記憶が影響する!

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不快な思いをした場所へ行くだけで、自律神経系に影響をおよぼすことがあります
「今日も上司に嫌なことを言われないかなぁ……」と思うことが、脳の「大脳辺縁系」という部分に影響します。「大脳辺縁系」と隣り合っている「視床下部」は、身体の働きをコントロールするという部分ですが、「大脳辺縁系」による情動(恐怖感・不快感)により身体のコントロールが狂ってしまいます。肩こりを起こすのは、コントロールが狂い、自律神経のうちの交感神経が優位になってしまう状態です。

この「大脳辺縁系」の中には、「扁桃体」「海馬」という部分があります。「昨日、会社のA会議室で、上司の○○さんに、ひどく嫌なことを言われた。」という記憶は「海馬」に関係しています。「会社へ行く」「A会議室へ行く」「上司の○○さんに会う」という状況に再びおかれると、「ひどく嫌なことを言われた。」記憶がよみがえり、「扁桃体」により「恐怖感・不快感」などの情動が生じます。


肩こりになる「交感神経優位」な状態とは?

嫌なことを言われた時に、心臓がドキドキしたり、食欲が無くなったりという経験はありませんか? それらも交感神経によるものです。その状態の持続が、血管の収縮をひきおこすことになり、肩こりになるのです。以下のような症状がある時は、肩こりをおこしやすい自律神経の状態になっていると考えられます。

■交感神経が優位になると?
  • 食欲の低下や胃の不調
  • 寝つきが悪くなるといった睡眠の問題が生じる
  • 体の力が抜けない
  • 動悸がする
  • 便秘や下痢など腸の具合が悪くなる
  • 呼吸が浅くなる、息苦しさを感じる

ここでは、職場の上司がストレッサーとなり肩こりをひきおこすことを例にあげましたが、これが気の合わない同僚や、取引先相手であっても同じことがいえます。

こういったことが原因での肩こりは、肩周りの筋肉をほぐしてリラックス効果を得るとともに、人間関係でストレスをためない工夫ができるかどうかがポイントになります。不快な思いをした記憶を長時間、頭の中に留めないようにできると良いと思います。


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