新コーナー「気になるDr訪問シリーズ」です。まず記念すべき第一号は長野県の諏訪マタニティクリニックへ取材に行ってまいりました。諏訪マタニティクリニックといえば減数手術・非配偶者間体外受精そして代理母と不妊治療のタブーといわれている治療に対して独自の視点と技術でトライされている施設です。
周りがだめだとか、それは倫理に反しているといっても患者さんにとっては不妊という問題は重大なものであり、できれば自分の子供を授かりたいと思っております。その思いは今までは我慢をしなければならないケースも多かったのですが、現在のように色々な技術が発展し、そして色々な価値観で物事を判断するとなると今までのような規範や法律で規制する事はできません。
そこで今回はパイオニア的な存在である根津院長先生に色々な質問をぶつけてみました。2回連載の予定です。是非、最後までお読み頂ければ幸いです。
★減数手術について
Q)かなり議論されたテーマですが、激しく反対されていたDr方が急に賛成になったのは何が原因でしょうか?
A)それは反対されていた先生方がそれは間違っていたとご自身が判断されたからだと思います。しかし、あれだけ色々と攻撃(誹謗・中傷)をされたのに、その後は何のコメントもない。反対ということに関してはどんなことでも賛成反対があるのでそれについてはなんとも思わないけれど、自分が間違った意見を言っていて間違っていたのに気づいたのにそれについてのコメントがないのは同じ科学者・ドクターとして非常に残念です。
責任ある態度を示さなければならない立場にあるドクターがこれでは、信頼がおかれないのも当然だと思います。今の日本の医療でもごまかしやうやむやにすることが当然になっていることが非常に心配です。
減数手術問題~解説
減数手術とは四つ子や五つ子を妊娠(にんしん)した時に子宮内で一部の胎児(たいじ)を死亡させる手術。
1999年、厚生科学審議会先端医療技術評価部会の生殖補助医療技術に関する専門委員会が、母子の生命に危険がある時に限り認める方針をまとめた。方針では複数の胎児が生まれる多胎妊娠した場合、減数手術で胎児の数を調節することは胎児の生命軽視にあたるので、原則的には認められないとした。ただし、三つ子以上で母子の生命が危険な場合の減数手術は容認した。 また2000年に日本母性保護産婦人科医会(日母,坂元正一会長)は都内で代議員会を開き,不妊治療などによって3つ子以上の多胎妊娠となった場合に,胎児の一部を中絶する「減数手術」を容認するなどを柱とした母体保護法の改正提言を了承した。
この決定までは母体保護法では多胎妊娠の場合、全員中絶か全員残すかというどちらかの選択を選ぶしか方法がなかった。多胎の場合は子供の数が多くなればなるほど母子両方ともに負担がかかり、妊娠中毒症などの危険率が飛躍的にUPする。また全員中絶となるのも心と体に負担がかかることは明白である。そこで「このような不条理は解消すべきである」と根津先生は当初より問題提起され、活動されてきた経緯がある。
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